世界一のブレない虎党としての究極の恩返し――。2023年セ・リーグ優勝監督となった阪神・岡田彰布監督(65)が早大在学中に書き記した“秘蔵文書”が本紙の取材によって発掘された。14日の巨人戦(甲子園)で4―3と勝利したチームは18年ぶり6度目のVを達成。自身も胴上げで6度宙を舞った。そんな指揮官は学生時代、野球部で活躍する傍ら「早大猛虎会」にも所属。同会で当時使用されていたサークルノートに直筆で記された「アレ」への思いを、時空を超えて令和の時代に結実させた。
筋金入りの虎党として何と幸せな人生を歩んでいるのだろう。母のおなかにいる時から心はタテジマ。父・勇郎(いさお)さんが虎戦士と親交が深かった縁もあり、岡田少年は阪神への愛着を持ち続け“英才教育”を完遂した。小中高大、そして選手、コーチ、監督として阪神の優勝を経験した唯一無二の超絶虎党。それが自ら監督となり、2度目の胴上げを経験するなんて奇跡というほかない。
今回、岡田の虎遍歴の中で注目したのは大学時代の貴重な資料だ。早大野球部では1年秋からレギュラー。東京六大学野球で名をはせたスターだった男が、好んで一般学生に紛れて入会した「早大猛虎会」でのエピソードを掘り下げる。
当時をよく知る同級生であり“秘蔵文書”の持ち主・奥村優子さんはこう話す。
「一番の阪神ファンだった岡田くんが、本当に阪神の選手になって日本一になって、監督でも優勝。そこから18年ぶりにまた優勝だなんて、岡田くんは世界一幸せな阪神ファンですよ。学生時代から有名人でしたけど、本当に自然体で私たちと接してくれていました。それは今も変わらないです。当時、サークルで管理していたノートへの書き込みは今となっては貴重な資料だと思いますね」
4年生の春に書かれたであろうノートに岡田青年はこう記している。
「優勝パレードでタイガースの旗が又見れますように」
4年・岡田主将が率いた早大は1979年春の六大学リーグ戦で連覇を達成。その際の優勝パレードで、虎党の岡田に向けて阪神のフラッグを振る仲間たちがいたのだろう。プロでは阪神、アマチュアでは早稲田の優勝を願う書き込みもあり、直筆での筆致が生き生きと感じられる。
すでに当時の岡田はプロ入り確実と言われた注目株。神宮球場で当時のヤクルトの球団職員から「ぜひとも阪神に入ってください」と声をかけられたという表記もノートに存在する。阪神ファンを公言する気さくな学生アスリートは、運命に導かれるように6球団競合の抽選を経て虎のドラ1となった。
関西で夜の街を歩けば、居酒屋で必ず阪神談議が行われる。ナイター中継を観戦しながらビール片手に熱くなる学生、若者、オジサンたち。あたかも自分が球団オーナーかのように「俺やったら次の監督は〇〇やなあ」と好き勝手にビジョンを語る。ここまではファンの領域だ。
だが、岡田の場合は違う。生粋の阪神ファンでありながら虎のドラ1。選手として日本一を経験し、自ら監督としてチームを2度のリーグ優勝に導いた稀有(けう)な存在だ。テレビ、新聞での辛口評論で阪神をぶった斬ってきた過去も愛情の裏返し。阪神愛世界ランクがあるならチャンピオン間違いなしだろう。
「いろいろ、何をゆーたところで一緒やんか。勝つことによって恩返しせな。俺らみたいな仕事はな」
世界一の虎党・岡田彰布から全国の虎党への恩返し。「アレ」、コンプリートしました。














