【赤ペン! 赤坂英一】広島にまさかの逆転Vはあるか。1日の中日戦(マツダ)に3―5と敗れて首位・阪神を6・5ゲーム差で追いかける展開だが、元広島監督(1999~2000年)で、ソフトバンクのヘッドコーチ(17~18年)も務めた達川光男氏はこう予想している。
「カープは優勝できると思うよ。チーム状態は決してよくはないけど、優勝するチームならではの〝運・鈍・根〟いうものが揃うとるからな」
これは古河財閥の創業者・古河市兵衛氏の残した名言である。〝運〟は文字通り幸運、〝鈍〟は物事に動じない鈍さ、〝根〟は諦めない粘り強さを意味し、新井監督の個性や広島のチームカラーに通じている。
「まず、最初の〝運〟がカープにはある。3位・DeNAとの直接対決は、宮崎が登録抹消で2勝1敗と勝ち越し(8月22~24日)。4位の巨人戦でも岡本和、梶谷が体調不良で離脱して、また2勝1敗。優勝するチームにはこういうツキがある」
ツキがなくなっても浮足立つことはなさそうだ。「カープには新井監督をはじめ、ちょっとやそっとのことで動じない〝鈍〟な優勝経験者が大勢残っているから」と達川氏は言う。
「菊池、田中、会沢、大瀬良、中崎と3連覇(16~18年)の時に主力じゃった選手がようけおる。彼らは16年はつばぜり合いを制したり、17年は何度も逆転勝ちしたり、いろんな経験をしとるからメンタルも強いよ」
シーズン大詰めになれば、選手たちの息切れも心配されるが「その点でも新井監督は気配りが行き届いている」そうだ。
「投手の使い方を見とったらわかる。抑えの栗林と矢崎を休ませながら交代で使うとる。これも終盤に効いてくるよ」
さらに〝根〟の粘り強さを後押しする本拠地マツダスタジアムの大声援も、逆転優勝に欠かせない好材料。今季は主催59試合で38勝19敗2分け、勝率6割6分7厘と大変勝率が高い。
しかも残り22試合中ホームが14試合。阪神との直接対決も7試合中4試合がホームである。
「声出しやジェット風船が解禁されたおかげで、最近のマツダの盛り上がりはすごいわ。私などは、1975年のカープ初優勝を思い出すくらいじゃ」
かく言う達川氏も広島の正捕手だった現役時代には、劇的な逆転優勝を実現させた。84年は中日との4・5差、86年には巨人との5・5差をひっくり返した経験を持つ。
「そういうこともあるんで、優勝争いはこれからが本番よ。ホンマで」