全ては「アレ」への熱意だろう。セ・リーグ首位の阪神は18日のDeNA戦(横浜)に1―2で逆転負けしたものの、2位広島が敗れたため優勝マジックを1つ減らして「28」とした。ただ、1点を追う9回に相手のリクエストで覆った判定を巡り岡田彰布監督(65)が退場も辞さない猛抗議を行う一幕も。このところ指揮官の勝利への執念は増す一方で、ある数字にも表れている。
問題のシーンが展開されたのは、1点を追う9回だ。一死走者なしから佐藤輝が右翼線にはじき返して出塁。ベンチは代走・熊谷を投入し、続く糸原の4球目に熊谷が二盗を敢行した。二塁塁審は「セーフ」の判定で一打同点の好機をお膳立てしたはずだったが、DeNA側がリクエストを要求。約3分半のリプレー検証の末に判定は覆り、二塁のベースカバーに入った京田の左足が熊谷のスライディングをブロックする形になっていた点にも敷田責任審判は「走者と野手が接触しましたが、妨害とはいたしません」と場内アナウンスで説明した。
これに激高したのが岡田監督だ。鬼の形相での抗議は「遅延行為」で退場となるタイムリミットすれすれのおよそ5分に達し、最後は審判団に促されてベンチに戻り、試合再開。糸原が四球を選んで二死一塁としたが、続く木浪が左飛に倒れて敗戦が決まると、怒りが収まらない指揮官は「しゃべることないわ」と集まった報道陣を制し、足早に球場を後にした。
それでも2位広島が敗れたため、優勝マジックは1つ減って「28」に。阪神優位は揺るがない。逆に7月16日以来の連敗という事実がここへきての強さを象徴している。
本拠地以外の球場を転戦する長期ロードも終盤戦。ここまで12勝4敗と快調な星取りで戦いを進める中、今年はある現象が表面化している。試合の〝長時間化〟だ。延長戦2試合など8月の戦いで試合時間が3時間を切ったのは、17日の広島戦のみ。今季最長の5時間16分の末に、延長12回にサヨナラ勝ちした12日のヤクルト戦など、とにかく〝長期戦〟をモノにしまくっている。
この要因と言えそうなのが岡田監督の采配だ。後半戦に入り、救援陣への〝アメとムチ〟を使い分けた起用が目立つ。今月は中継ぎ9人体制を敷き、登板頻度や投球数に応じ、仕事量が多かったリリーバーに〝休養日〟を充てる一方、その起用法はワンポイントなどの投入が増え、より細分化している。
8日からの巨人→ヤクルトと続いた6連戦中の8回の継投策は、その最たる例だろう。8日は岩貞→馬場→ケラーのリレーで、10日も先発・才木から加治屋→島本とつないだ。11日のヤクルト戦などは、同じ8回に島本→岡留→及川→馬場と4人をつぎ込んでアウト3つを取る執念継投を披露した。いずれも守護神・岩崎へつなぐ、1点リードを死守したものだ。
継投の人数が増えれば増えるほど投球練習などのインターバルも生じて試合時間は長くなる。セ球団のあるスコアラーは「大事なのはそれで勝っていること」と指摘し、こう続ける。
「夏場はどこのチームも先発がバテてきて投げるイニングが短くなる。大事なのは中継ぎ陣をどう機能させるか。これが難しい。チームにとってつらいのは、たくさん(中継ぎの)枚数を使った挙げ句、同点に追いつかれたり、逆転されて負けること。疲弊だけして何も残らないわけだから。8月の阪神には、ほぼこれがない。むしろ(中継ぎを多く)使った試合ほど勝っている。だからいい流れが続くし、岡田監督も絶対にそこは意識していると思いますね」
時間をかけてタクトを振った一戦ほど、結果につなげているというわけだ。
8月に喫した3敗は今月の全試合のなかで試合時間が短い3試合になっている。18日終了時で、延長戦を除いた阪神の平均試合時間3時間12分はセで最も長い。小刻みにムチを入れて試合の流れをつないでいく〝岡田の長期戦〟は虎の真夏の進撃を支えている。












