第105回全国高校野球選手権大会第6日(11日)、第2試合は今春選抜大会4強の広陵(広島)が立正大淞南(島根)に8―3で逆転勝ちし、準優勝した2017年以来、6年ぶりの初戦突破で16強入りを果たした。

 高校通算62本塁打を誇るプロ注目スラッガーの「ボンズ」こと真鍋慧内野手(3年)が4打数2安打3打点1四球の活躍でチームをけん引した。初回二死走者なしで左前打、4―3の6回二死満塁では左中間最深部へ運んだ。相手のまずい守備もあって走者一掃の3点二塁打となり「少しこすったけど安打になって良かった。センターを中心に打とうと思っていて、その結果打てた。調子のいいときは逆方向に打てるので状態はいい」と手応えを口にした。

 今春選抜では14打数6安打3打点ながら期待された本塁打はナシ。広島大会では20打数5安打、1本塁打、5打点と主砲としては物足りない成績だった。それが今大会では初戦から大暴れ。復調の背景には指揮官の〝猛ゲキ〟があったようだ。

 中井哲之監督(61)は選手の主体性を尊重し、基本的にはミーティングに参加しない。「僕はビデオも見ていない。コーチや部長、選手でまとめたものを見せてもらって『分かった、これでいこう』というような感じ。僕が言うと、命令調になるので」という配慮からだ。しかし、今年の広島大会では、準決勝の呉港戦を控えた試合前のミーティングに参加。調子の上がらない真鍋に向かって「このままではプロになんかいけんぞ!」と言い放ったという。

 中井門下生の現役プロ野球選手では、2017年ドラフト1位で広島入りした中村奨成の例はあるものの、07年夏の準Vメンバーである野村祐輔(明大→広島)や小林誠司(同志社大→日本生命→巨人)、上本崇司(明大→広島)、有原航平(早大→日本ハム)と大学を経由してプロ入りした選手が多い。プロ志望の真鍋にとって、恩師からの「プロにいけんぞ」は相当こたえたはずだ。

 選手の一人は、中井監督のゲキの真意をこう説明する。「真鍋にはできたら高卒でプロに行ってほしいし、本人もそうしたいと思っているはず。でも何人もプロに送っている中井監督に無理だと言われたら進学するしかありませんが、監督も本心で言った言葉ではないと思う。真鍋の性格を熟知しているからこそ、発奮させる狙いがあったのでは」

 ナインによれば、真鍋は今春ごろから本塁打が出なくなり、考え過ぎていた面があるという。だが、恩師の〝愛のムチ〟で「今回の甲子園では何としても活躍してチームを日本一に導き、中井監督に『この成績ならプロでもやれるぞ』と認めてもらえるように燃えているはず」(別の選手)。

 愛称「ボンズ」の名付け親でもある中井監督は真鍋の打撃が「しょっぱい」との理由から「ポン酢」に〝格下げ〟したこともあった。ただ、この日は「逆方向へあれだけ飛べば、いい打者と言ってもらえるのでは。今日はボンズですね」。堂々とプロの門をたたくためにも、真鍋はまだまだ自慢の長打力を発揮していく。