ヒントはどこに転がっているか分からない――。ソフトバンクの三森大貴内野手(24)が10日の楽天戦(ペイペイ)で今季2度目の猛打賞をマークして、11―4の大勝に貢献。5試合連続となる1番起用に応え、3度の出塁でいずれも生還を果たした。5回に放った適時三塁打は、見送れば体に当たりそうな内角低めに食い込むスライダーを右翼線へ運ぶ天性のバットコントロールだった。打棒に加え、自慢の俊足でも持ち前の攻撃性能をフルに発揮。リードオフマンとして存在感を放っている。

 昨季はわずかに規定打席に届かなかったが、自身初の100試合以上に出場した。今季はレギュラー取りを期待された7年目。だが、春先から不振で開幕一軍を逃した。昇格後も4月は打率1割5分、5月は1割5厘と低迷。ベンチを温める時間も多かった。兆しが見えたのは6月も終わりかけた頃。そこから徐々に本来の打撃を取り戻していった。6月は打率3割5分、7月は3割1分6厘、今月はここまで3割3分3厘をマークしている。

 天才型の24歳には、確かなきっかけがあった。「見たのは6月くらいじゃないですかね。たまたま見ていて小指が一番力が入ると。それからは、強く打つためには小指を(グリップに)引っかけた方がいいかなと思いました」。三森が見たのは、大相撲を題材とした話題のドラマ「サンクチュアリ―聖域―」。作品中の小指を鍛えるシーンを見て、気づきがあった。

 よりコンタクトするために昨季はバットを短く握っていた。ただ、意志を持って春季キャンプでは長めに持つスタイルでスタート。「結局うまくいかなくて。それで去年の映像とか見て、また若干短く持ってみた。でも、しっくりこなくて…」。迷走中だったからこそ、背中を押された。「これが終着点ではないとしても、思いつきではないですが、なんか『そうなんや』っていう発見ですよね。基本『これだ』というのは、自分で見つけるもの。今回もたまたま。でも、人それぞれの状況、その時々でいい情報っていうのはあると思うんです」。

 職人気質の若鷹はこうも続ける。「他のスポーツは結構、見てますね。それが生かされてるかって言われたら分からないですが。野球は自分がやってしまってるんで、ヒントに気づきにくいというか…。余計、他のスポーツの方が面白くも見えるし、自分にも生かしやすい。変な先入観がないですから。他のスポーツから得るものはあります」。

 青森山田高から2016年ドラフト会議で4位指名を受けて入団。長谷川勇也(打撃コーチ)や中村晃に通ずる叩き上げの系譜がある。レギュラーは与えられるものではなく、つかみ取るもの――。成功を引き寄せる貪欲な姿勢が三森にはある。