3位からの逆転優勝を目指すソフトバンクは1日の西武戦(ベルーナ)に0―5の零封負けを喫し、8月黒星スタートとなった。首位オリックスが勝ったため、ゲーム差は今季最大タイの「8」に拡大。反転攻勢に弾みをつけるべく何としても取りたかったゲームは、結果的に必勝態勢が裏目に出た。

 試合後、藤本監督は悔しさを必死にこらえて言った。「有原が投げているから、先に1点を取りたいっていうね。もう残り50試合ちょっとしかないから、先に先にと思ってたんやけど、うまくいかないね」。

 打線は2回から4イニング連続で先頭が四球を選んで、突破口を切り開こうとした。だが、犠打失敗も含めて3つの併殺を記録して無得点。

「有原が投げているんで、1点先に取れば有利に運べる。最初(0―0の2回無死一塁)にバントもやったし、もう一回(0―1の4回無死一塁)は5番打者やからね、打たせるでしょう」と先制点奪取を愚直に目指し、迷いない采配で反撃を狙った。

 だが、結果は前回、前々回の登板で連続完封勝利を収めて臨んできた絶好調の相手エース・高橋に、力の差を見せつけられるようにチャンスの芽をつまれた。

 有原は前回登板のオリックス戦で移籍後初となる完封勝ち。球界のエース・山本に投げ勝って、チームの不名誉な連敗を12で止めていた。それだけに今、ホークスで最も勝利が望める先発投手。有原で落とせない――。そんな心理がこの試合に限っては、重圧となっていたかもしれない。

 そんな状況に輪をかけるように、高橋が無双継続の勢いを増すにつれ〝負のスパイラル〟に陥った。鷹陣営は「1点勝負」を強く意識。中盤の入りの4回に与えた追加点は、作戦が裏目に出た。

 有原が二死三塁に走者を背負うと、打席には2回に先制打を献上した育成出身3年目の伏兵・長谷川。2球ボールが続いた後、バッテリーは3球目を意図的に外した。4球目を投じることなく申告敬遠。続く8番・古賀は打率1割台で、より打ち取る確率の高い打者をチームとして選択した形だった。

 結果は左中間フェンス直撃の2点適時二塁打を許し、ビハインドが広がった。藤本監督は「それは勝負事やからしょうがない」と努めて冷静に受け止め、有原は「ああいう作戦なので、その後を抑えられなかったことが悔しい」と、結果的に裏目に出たシーンを振り返った。

 試合は回を追うごとに敗色濃厚となり、7回には守備のミス、3四球が絡んでダメ押しの2点を献上。点差が開き、球数がかさんだ宿敵・高橋は7回でお役御免となり、打線は今季4度目の直接対決でも攻略とはいかなかった。

 7勝15敗と大きく負け越した7月の悪夢を振り払うためにも、連敗だけは避けなければならない。8月に入り、残りは52試合。長いNPBの歴史を振り返れば、2008年の巨人が残り49試合で9・5ゲーム差をひっくり返したケースなど、もっと過酷な状況から逆転した事例はある。志がある限り、下を向いている暇はない――。