未完の大器は今――。生え抜きの大砲として期待され続けてきたソフトバンクのプロ6年生リチャード内野手(24)は現在ウエスタン・リーグで規定打席未到達ながら13本塁打、41打点で2冠独走中だ。昨季も同リーグ記録を更新する29本塁打を放ち、打点と合わせてダントツの2冠王に輝いた。
球団フロントが挙げる有望株筆頭。しかし、一軍では今季7試合に出場して12打数1安打、8分3厘。スタメン起用はわずか2試合で少ないチャンスを生かせず、先月上旬にファーム降格となった。
「今、意識しているのは走者がいる場面での集中した打撃。あとは、どうやったら一軍で打てるかを考えてやっています。一軍でたくさん打席をもらえないことは分かっている。少ない打席数で結果を求める中で、データや相手との駆け引きを意識しながら打っています」(リチャード)
球団は6月に手薄な右の長距離砲の補強で、昨オフに自由契約としたデスパイネの再獲得に踏み切った。リチャードに限らず、若手はその背景と自らへの影響をもちろん理解できている。
次に巡ってくる一軍での1打席の意義をかみ締めながら、確かな信念を持ってバットを振っている。「率は気にしない。なぜなら、僕は率の人じゃないから」。現役時代に「打撃職人」と称された長谷川一軍打撃コーチが「いじるところが一つもない」と評価する技術の持ち主。決して強みを見失わず、歯を食いしばっている。
6月から体の一部に痛みを抱えているが、少ないチャンスをものにすべく痛い、かゆいは封印している。直近の二軍戦では2戦連発。小久保二軍監督に背中を押されたとはいえ、自ら下した選択と出した結果に強い覚悟がにじむ。
いつまでも〝期待の星〟ではいられない。「ロマン砲って、誰が言い始めたんですかね?」。真の大砲になるための心の準備は整った。













