【球界こぼれ話】日本ハムが予想以上の奮闘を続けている。開幕直後は投打の歯車がかみ合わず低迷したものの、4月中旬からは急上昇。5月を14勝11敗で勝ち越し、リーグ4位につけている。

 首位オリックスとはまだ6・5ゲーム差(4日現在)。シーズン前から新庄監督が「優勝しか目指さない」と公言しているため、ナインや首脳陣はこの現状に満足していない。だがぶっちぎりの最下位に沈んだ昨季を知るファンや関係者から見れば、今季の戦いぶりは「大健闘」と言える。

 わずか1年でチームが「戦える集団」に変貌を遂げた要因は何か。新庄監督の采配ぶりや若手の成長もさることながら、捕手・伏見寅威(33)の加入も忘れてはいけない。

 昨オフ、オリックスから日本ハムにFA移籍。開幕からチーム投手陣をけん引している。そのおかげもあり、昨季リーグワーストだったチーム防御率(3・46)は大幅に改善。4日現在、リーグ3位の2・90を誇る。この点を伏見に聞くと「別に僕が特別なことをしているわけじゃないですよ」と謙遜しながらチーム投手陣の現状をこう分析した。

「試合に勝つためには投手陣が毎試合、ゲームをつくらないといけない。そのために捕手は投手に『サイン通り投げていれば大丈夫』という安心感を持ってもらうことが大事です。その準備(相手打者の研究)は常にしているつもりです。ただ、外から見るよりウチの投手陣はいいですから。(古巣の)オリックスと比べても劣っているとは思わない。むしろチームが勝てる要因はオリックスよりあるかもしれません」

 その理由は「攻撃陣の援護」だと言う。

「オリックスのように1、2点を守り抜く野球はまだ難しいかもしれませんがその分ウチは打線が活発で点を取れる。打線が(1試合で)3、4点取ってくれればこっちもリードに余裕が持てる。僕は毎試合失点を3点以内に抑えるよう意識していますが、3点以内ならウチの投手陣は十分抑えられる。バッテリーが失点を最小限にしていけばもっと上を狙える。これだけ劇的に打率が悪い僕を(首脳陣が)試合で使ってくれているのはそのへんを期待しているからでしょうし。打撃や盗塁阻止も含め、僕も上を目指します」(伏見)

 ここ数試合はマルティネスや清水ら同僚捕手が打撃面でアピール。伏見の出番は減りつつあるが、若手中心の日本ハムにはオリックスで最強投手陣を率いた頭脳が今後も不可欠と言える。

 チームに新風を吹き込む伏見。目立ちはしないがその存在意義は想像以上に大きい。