女子ナンバーワンの座をかけて――。「スターダム」のワールド王者ジュリア(29)が、IWGP女子王者メルセデス・モネ(31)との頂上決戦をぶち上げた。中野たむとのV3戦が行われる23日の横浜アリーナ大会では、モネも岩谷麻優とV2戦で激突する。ワールド王座戦とIWGP女子王座戦が同じ大会で開催されるのは初で、ジュリアはIWGP女子王者の動向を注視している。

 V3戦が近づくにつれ、ジュリアは気持ちの高ぶりを抑えきれなかった。中野は幾度となく死闘を繰り広げた因縁のライバル。敗者髪切りマッチとして行われた2021年3月のワンダー王座戦で敗れ、丸刈りの屈辱を味わわされた。

 だが、昨年10月の「5★STAR GP」優勝決定戦ではリベンジに成功し、初優勝の踏み台にした。団体最高峰ベルトをかけた今回の一戦は、真の決着戦になる。

 その中野を、ジュリアは「たむは色物だから。もし、団体のトップになるとしたら恥ずかしい」と厳しく評し「もがいて苦しんで輝くのが中野たむ。とことん絶望の波におぼれさせて、逃げ出したくなるぐらい苦しませてあげますよ」と自信の笑みを浮かべた。

 赤の王者として、ここで立ち止まるわけにはいかない。まだまだやりたいことが山積みだからだ。その一つが、いまだシングルでの対戦がない林下詩美との防衛戦だ。

「あの朱里が詩美を倒すのには苦戦してたし、未知な存在。詩美とは大一番でドカンとやりたい。『赤いベルトのチャンピオンだ』って胸を張って言うには、やっぱり林下詩美のこともしっかり倒してこそだと思う」

 ベテランの高橋奈七永も避けては通れない存在だ。「全女(全日本女子プロレス)の最後のチャンピオンであり、初代ワールド王者。女子プロレスの歴史をつなげた重要人物。(44歳と)年食ってもあんなに元気で大暴れしてる高橋奈七永とは戦いたい」と語気を強めた。

 そして何より、横浜大会にはジュリアが興味を示す選手が参戦する。サーシャ・バンクスのリングネームで、米WWEで活躍したモネだ。「存在感と華がすごい。会見とか見てると、気性の荒い部分とか闘争心みたいなのがジュリアと通ずる部分があるのかなって」と印象を語る。

 11日の会見でモネが挑戦者の岩谷をKOする姿を見て、ジュリアは「ニヤっとしちゃったね。『私が一番でしょ』っていう、あの態度を崩したら面白いことになりそう」と胸を躍らせたという。ただし、モネが発した「私が今の日本の女子プロレスのトップだ」という言葉だけは聞き捨てならなかった。

 ジュリアは「できたばかりの歴史の浅いベルトなのに…言っていることが薄っぺらいですねえ」と世界的スーパースターを容赦なく斬り捨て、直接対決を視野に入れた。

「お互いが防衛して、モネと2冠戦をやりたいね。世界的な知名度がある人を倒したら、私にはうまみしかない。IWGPを持ったモネと赤いベルトを巻いてるジュリアが戦ったら、世界中が大注目するんじゃない」

 ワールド王者vsIWGP女子王者、世紀の一戦を見据え横浜決戦のリングに立つ。