【米ニューヨーク8日(日本時間9日)発】メッツ・千賀滉大投手(30)が本拠地初登板となったマーリンズ戦で6回3安打1失点の好投を見せてメジャー2連勝を飾った。奪った三振は6つ。得意のフォークを警戒する相手の裏をかくように、最速158キロの真っすぐと精度の高いカットボールを有効に使って、クオリティースタート(先発6回以上、自責点3以下)を達成した。

 前回と同じ相手を戦略的に抑え込んだ千賀だったが、初戦に続いて、この日もどこか浮かない表情が印象的だった。猛省したのは6回、先頭・チザムに献上したソロ本塁打。「投げちゃいけないところに投げてしまった。僕のミス。ああやって点を取ってもらって次の回というところで、試合の流れを分からなくさせてしまった。そういうところをもう少し詰めていかないといけない。次からまた気をつけたいです」。直前の5回に主砲・アロンソの2ランでリードは3点。盤石の試合運びかと思われた中で、確かに雲行きが怪しくなりかけた余計な一発だった。

 だが、ここで千賀を救う頼れる仲間がいた。開幕から不振を極めていたベテランのエドゥアルド・エスコバー内野手(34)だった。メジャー通算158本塁打を誇りながら、試合前まで打率8分3厘。正三塁手ながらレギュラー剥奪も囁かれていた男が、6回に中押しの2ランを叩き込んだ。まさに、千賀の勝利を決定づけた一発だった。

 このエスコバー、千賀にとっても重要なキーパーソンだった。何より新加入の千賀を気にかける「気遣いの人」でもあったからだ。キャンプ中、勤勉にトレーニングに励む千賀に目を細めていたエスコバー。さらに自身もベネズエラ代表で出場した第5回WBCで、世界一に輝いた侍ジャパンの結束力と献身性に感心していた。そのリスペクトから、千賀に「日本の野球や日本人に敬意を表する言葉を教えてほしい」と懇願。「誇らしい」という言葉を覚えてからは、千賀や日本人スタッフ、日本の報道陣に「ニッポンジン、ホコラシイ」と両手を合わせてお辞儀をするのがお決まりとなった。

 名将・ショーウォルター監督も「仲間たちはみんな、エスコバーが日々やっていることを理解している」とチームの精神的支柱と認める。開幕前の選手全員参加の決起集会では店を選び、参加者全員分のお代を支払ってスマートに姿を消したエスコバー。チームで誰よりも慕われる男に認められる――。千賀自身の愛嬌いっぱいの人間性ももちろんあるが、日本からやってきた新人が開幕前にすっかりチームになじんでいた理由だった。

 この日も本拠地ロッカーの千賀の隣席で「ホコラシイ」とお辞儀を決めたエスコバー。千賀の登板試合、雲行きが怪しくなった展開で流れを引き戻す一発を放つあたりが、気配り屋さんの真骨頂だった。