第5回WBCで侍ジャパンを3大会ぶり3度目の優勝に導き、MVPに輝いた世界の大谷翔平(28=エンゼルス)を、本気で追いかけるチャレンジャーが現れた。大谷とともにWBC7試合で日本のクリーンアップを組んだ、若き3冠王・村上宗隆内野手(23=ヤクルト)だ。
村上はWBC本番直前のバンテリンドームで、大谷の打撃練習に初遭遇。他の侍ナインらが圧倒的な飛距離に魅了されている中、怒り、悔しさをため込んでいたという。
大会期間中に更新された高木豊氏のユーチューブチャンネルで、ダルビッシュが「大谷君の打撃練習を見て一人だけ怒っていた、イライラしているんですよ。その前に野手会で『お前、大谷には勝てねえよ』『レベルが違うよ』とみんなに言われて『でも、分かんないですよ』『負けたくねぇ』とずっと言っていた。それを見ていいな、と思った。56本ホームランを打って3冠王を獲って、まだその気持ちがあるというのはボクはいいなと思った」と、大谷に対する対抗心をムキ出しにしていた村上の向上心に賛辞を贈っていた。
大谷の打撃練習といえば、これまで多くの長距離砲、スラッガーたちを絶望させてきた。まだ筋力も今ほどでなかった日本ハム時代(2013年~17年)でさえ、ソフトバンク・柳田、西武・山川、森らの戦意を喪失させた。「野球を辞めたくなる」という山川の〝大谷評〟はそのころから言われていたものである。
当時から圧倒的飛距離の原動力となっていた、全身のバネと関節の柔軟性、そして長いリーチをフル活用した遠心力、何よりあのサイズの体を完璧に使いこなしていた大谷の野球センスと操作性は、誰にもマネのできないレベルに達していた。
そして、これは世界の猛者が集うアメリカへ行っても同じだった。MLBに移籍した大谷が18年2月のエンゼルスキャンプに合流した初日、大谷が放った打球を見たマイク・トラウト、アルバート・プホルスというメジャーを代表する打者たちは、あ然とした表情で打球の行方を追っていた。
21年の球宴ホームランダービーでは最長不倒513フィート(約156・3メートル)を記録。特別な才能を持ったアスリートが到達した芸術的な領域へ、村上はあえて挑もうとしているわけだ。
大谷の打撃練習にショックを受け、ダルビッシュに体づくりやトレーニングの仕方を聞き、はるか彼方を走る大谷翔平を真剣に追いかけ始めた初めてのプロ野球選手が、今後どんな進化を見せるのか、注目していきたい。












