WBCでの侍ジャパンの快挙に日本中が沸いたが、株式市場はとんだ“冠銘柄”に投資家が翻弄された。名前が同じだけで株価が高騰する現象まで起きたのだ。

 株式市場の“WBCお祭り騒ぎ”の口火を切ったのは「大谷工業」だ。WBC開幕前日の今月7日に4415円から連日ストップ高を記録。準々決勝当日の16日には約4倍となる1万6050円の年初来高値を更新した。

「村上開明堂」は2800円前後で推移していたが、決勝戦の22日に一時3150円まで高騰し、年初来高値をつけた。ほかにも「岡本工作機械製作所」「岡本硝子」「クリヤマホールディングス」などが活況を呈した。

 WBCで大谷は文句なしの活躍でMVPに輝いた。また、準決勝でそれまで不振だった村上宗隆は適時二塁打を放ってサヨナラ勝ち、さらに決勝では覚醒の今大会初本塁打となった。岡本和真は準々決勝の5打点に決勝戦での殊勲打だけでなく、大会全体を通して活躍した。

 それだけに関連株価が上がったのもうなずけるといったところだが、実はこれらの銘柄はいずれも会社名に選手と同じ名前が含まれているだけで、他には何の関係性もないのだ。

 WBCの関連銘柄といえば、ユニホームサプライヤーの「ミズノ」や大谷をCMで起用している「コーセー」、スポーツバーを運営する「ハブ」など、選手の活躍と業績が連動することで、実益が期待されるからこその思惑買いが入っていた。

 株式アナリストの山本伸氏は「冠銘柄といって、過去にも話題の出来事と同じ社名の会社が、関係ないのに間違って買われてしまったとか、掲示板に関連があるとニセ情報が書かれ、上がったことはあったが、『大谷工業』のようにこれだけ高騰したのは前代未聞。チキンレースで何の根拠もないわけで、誰がババをつかむのかという大バカな話」とあきれた。

「大谷工業」は決勝戦の22日に1万円台に一時回復したものの終値は4日続落で7260円と、最高値の半値以下まで落ち込んだ。「マザーズ市場が暴落していて、投資マネーの行き場がない中で、ネット仕手筋が結託して釣り上げた。これに乗っかること自体があり得ない話で、一度つけた高値まで戻ることはないでしょう」(山本氏)

 WBCにかこつけた言葉遊びだけのマネーゲームに踊らされ、せっかくの侍ジャパン優勝の喜びも吹き飛んでしまった投資家も多いようだ。