WBCの名勝負数え歌だ――。侍ジャパンの3大会ぶり3度目の世界一で第5回WBCは幕を閉じたが、激闘から一夜明けた22日(日本時間23日)も米国で興奮が続いている。1点リードの9回に7番手で登板した大谷翔平投手(28=エンゼルス)が迎えた最後の打者はチームメートで米国の主将を務めたマイク・トラウト外野手(31)とドラマを超えた展開。世界の野球ファンが夢見た対決は真横に滑る魔球スライダーでバットに空を切らせた。トラウトが次回大会での雪辱を誓ったことでラウンド2が楽しみだ。
21日(同22日)にローンデポ・パークで行われた第5回WBC決勝。侍ジャパンが1点リードした9回二死無走者。2連覇を信じるファンの「USA」「USA」の大合唱を背にトラウトは打席に立った。現在の野球界でこれ以上はない最高のクライマックスだ。
初球、スライダーが真ん中低めに外れ、2球目は161キロの真ん中高めの直球を空振り、3球目の直球はボール、4球目の161キロの直球を空振り。5球目の163・5キロの直球は外角低めに大きく外れた。勝負の6球目、内角から外角に大きく横滑りするスライダーにトラウトのバットは空を切った。
次の瞬間、大谷はグラブを投げ、帽子も脱ぎ捨て喜びを爆発。トラウトは悔しそうな表情でベンチに戻った。米投球データ分析サービス、コーディファイの公式ツイッターによるとトラウトはメジャー通算6174打席で3ストライク全て空振りの三振は24回だけ。結果もそうだが内容もすごいのだ。
NBCスポーツ(電子版)は「この数字は、大谷翔平がWBCでマイク・トラウトから奪った三振をさらに英雄的なものにしている」と伝えた。
スポーツ・イラストレイテッド(電子版)は「世界が大谷翔平におとぎ話のような結末を求めた。彼はそれを届けた」と絶賛。
ワシントン・ポスト紙(電子版)は「大谷翔平、日本のWBC・MVPは、意味ある野球の味を知った」。ロサンゼルス・タイムズ紙のデュラン・ヘルナンデス記者は「大谷翔平のWBCでの活躍は、彼がエンゼルスを去るべきだと証明している」。ボストン・グローブ紙(電子版)も「世界中が見つめる中、大谷翔平はWBC決勝で全く世界をがっかりさせなかった」と報じるなど全米メディアの興奮も続いている。
米国代表のポール・ゴールドシュミット内野手(35=カージナルス)は「(大谷対トラウトは)2人の順番が回ってくる可能性があるのを見て、まるで映画の脚本に出てくるシーンのようだってジョークを言ったんだ。マイクも素晴らしい打席で、難しい球をうまくかわしていたけど、最後は大谷による素晴らしい1球。これは野球にとっても貴重な出来事だと思う」と絶賛。
アダム・ウェインライト投手(41=カージナルス)は「一番は大谷対トラウト。恐らく世界中が見ていたよね。僕らは勝たなかったけど、今日野球はまた一歩前進した」とうなった。
次打者だったノーラン・アレナド内野手(31=カージナルス)は「運命は本当に不思議だよ。考えてみるとクレイジーなこと。皆が見たいと話していた対戦が実現しちゃうんだもん。見ていて楽しかった」と舌を巻いた。
試合後、取材に応じたトラウトは「野球ファンだったら、みんなが見たい。彼からは何も奪えないね。投手としてブルペンから出てくるのも…もうショータイムだよ」と脱帽。「彼がラウンド1を勝った。タフな夜だったけど、僕らはまた戻ってくる」と2026年大会での雪辱を誓った。名勝負数え歌が始まった。











