【今村猛 鉄仮面の内側(31)】プロ野球中継の最後を飾る場面といえばヒーローインタビュー。しかし、僕はこれが苦手でした。

 プロ初勝利のときなど、20代前半のころまではお立ち台に上がらせてもらっていましたが、その後はほぼないと言っていいくらいだと思います。
 正直、リリーフ投手というのは、ゲームのポイントとポイントをつなぐ仕事だと思っています。そこがめちゃくちゃ重要な場面であって、素晴らしい投球をしたのであればヒーローたり得るかもしれません。

 でも、勝ちパターンで投げる中継ぎ投手は特に、抑えて当たり前という役割なんです。つまり、期待通りの結果を残すだけなんです。そもそも、野球は7割以上、投手が抑えるようになっているスポーツですしね。別にヒーローではないですよ。僕からすると。

 試合全体の割合でいえば、僕よりも他にもっとヒーローがいるものだと思っていました。やっぱり野球は打って楽しむスポーツなんですよ。どうやっても。気持ちいいじゃないですか。

 一打逆転の場面で打席に入る打者、貴重な1点を守るために登板する守護神。どちらがプレッシャーがかかるかといえば、それは投手かもしれません。繰り返しになりますが、それは抑えて当然と思われているからです。そんな場面で新井さん(カープ新監督)みたいに打てたら気持ちいいですもんね。

 僕はもともと日本ハム監督の新庄剛志さんのように表に出るスターではありません。野球ファンでなくても皆さんが身近に知っているようなメジャーリーガーでもありません。正直、プレースタイルも地味ですし。でも、そういうタイプの人間でもいろんなことをやれるんだということも、これから示していきたいと思っています。

 野球界の歴史に残るような大記録を残し、長くプレーをして球団に残るような選手もいます。ユニホームを脱いで一からサラリーマンになるという人もいるでしょう。それ以外にもいろんな道があります。

 まったく別のジャンルの仕事を一から勉強するのもいい。そこに今までやってきたことを生かして何か挑戦できればということもしかりで、うまくミックスして自分がそういうものを表現できればと思っています。そんな道もあるんだなと。この世に示せる何かを。

 今はまだまだ考え中です。動き出しているものもあれば、構想中のものもあります。今までやってきた野球にも正直に向き合いながら、いろんなことに挑戦したいですね。10年後、20年後に、これから引退する選手たちの人生の先のモデルをつくることができればと考えています。

 地元にも恩返ししたいですね。恩師の方々、応援してくれた皆さん、家族、関わった方々に感謝して、その恩をそのまま返すのではなく未来ある次の世代につないでいきたいと思っています。年代が近く長崎県出身、阪神から日本ハムへ移籍した江越大賀や元阪神、ソフトバンクの松田遼馬らと長崎県人会も盛り上げていきたいです。