阪神球団は12月21日付で、球団の取締役オーナーに阪急阪神ホールディングス(HD)社長の杉山健博氏(64)が就任すると発表した。これまで代表取締役会長兼オーナーを務めてきた藤原崇起氏(70)は退任する。併せてこの日、阪神電鉄取締役社長の秦雅夫氏(65)が同球団の代表取締役会長に就任することも発表された。

 阪神電鉄は2006年に、阪急電鉄の持ち株会社である阪急ホールディングス(当時)にTOBされる形で経営統合。阪急阪神HDの子会社となったが、「タイガースのオーナーは阪神電鉄の社長、あるいは会長が務める」という大原則はこれまで堅持されてきた。だが、杉山新オーナーは1982年に阪急電鉄に入社した筋金入りの〝阪急人〟。球団史上初となる阪急出身オーナーとしてチームをどのように主導していくか、手腕が注目される。

 杉山氏の肩書は代表権のない「取締役オーナー」。阪神電鉄出身の秦氏に代表取締役会長を託すことで「阪神タイガースの経営権は(これまでと変わらず)阪神電鉄にある」ことを、同日に大阪市内の阪神電鉄本社で行われた記者会見では何度も強調した。球団経営の最終的な意思決定のほか、チームの監督を任命、解任することもオーナーの専権事項とされているが、この点を杉山氏と秦氏のどちらが掌握するかは現時点では不透明だ。

 NPB球団の親会社が変更する場合、該当球団は加盟料として計30億円(預かり保証金+加入手数料+野球振興協力金)を支払うことが野球協約上、定められている。だが、阪神電鉄出身の秦氏が代表権を握ることで、「従来通りタイガースの経営権を持つのは阪神電鉄」というロジックは成り立つ。杉山新オーナーも「私が答えるよりも藤原前オーナーに聞かれたほうがいいと思いますが」と前置きした上で、前述の〝30億円問題〟については「問題ないと聞いております。(他11球団からの)ご理解はいただいているものだと思っている」と支払い義務は発生しないとの認識を示した。

 杉山新オーナーは秦新会長との今後の協力態勢について「基本的に(職分上の)すみ分けをあえてする必要はないと思っている。阪神タイガースを強くして来季の優勝を果たすために力を合わせて協力していきたい」と言及。阪急サイドと阪神サイドの〝二人三脚〟で球団経営、チーム強化に乗り出す考えを強調した。「阪急タイガースという(世間の)揶揄もあるが」と報道陣に問われると「まったくあり得ない話。タイガースは甲子園球場を本拠地にして、長い間ファンの皆さまから愛されてきた唯一無二のブランド。これからも阪神タイガースが変わるとかね、そういうことはあり得ない」と語った。