【石毛博史 火消しは任せろ(24)】関西独立リーグの神戸9クルーズの吉田えり選手は“ナックル姫”として世間の注目を集めていました。話題性だけで残っていたわけじゃなく、ナックルボールや守備、けん制もすごく一生懸命に練習していたみたいですよ。えりちゃん対策もしてましたが、打ち勝った試合はなかったんじゃないかな。ウチのレベルが低かったのもあるし、彼女は人気と実力が伴っていたと思います。
男子と比べてスピードはないにしろ、結果は残していた。ナックルの後の真っすぐが速く見えたり、相手の中田良弘監督がしっかり指導されていたんじゃないですか。もちろん他の男子選手と同じ意識で立ち向かっていきました。
1年目は大阪ゴールドビリケーンズが優勝できた。でも果たして翌年もチームがやっていけるのか、という不安は常にありました。スポンサーの森下仁丹におんぶに抱っこで、他に収入がない。入場収入もわずかだし、グッズ物販もない。となると小口で支援してくださるスポンサーを集めないといけない。村上隆行監督はもちろん、僕もやっていましたが、賛同してくれる企業は少なかった。プロ球団があるし、なかなか根づかない。選手もアルバイトをしてたり、途中でやめていったり…なかなかうまくいかなかった。
このダメな環境が嫌なら頑張って早くプロに行けよ、と思いつつ、夢をあきらめさす場所でもあった。僕の年収は数万円でしたが、選手はもっともっと厳しかったわけですから…。
2010年、大阪ゴールドビリケーンズは関西独立リーグを離れ、三重スリーアローズとともにジャパン・フューチャーベースボールリーグ(JFBL)に参加。四国・九州アイランドリーグとも交流戦を行っていくことになりました。四国4県に加え、長崎にも遠征に行かないといけません。四国は選手20人で大阪からフェリーで行って1試合だけして帰ってくる。連戦になると知り合いの別荘みたいなところにみんなで泊めてもらっていました。大変でしたけど、楽しかったですね。九州だと大阪・南港を夕方に出て朝に着く。球団の渡航費も結構な負担だったと思います。
村上監督とは野球観も合った。指導の念頭に置いているのは人間性。あいさつ、グラウンドの整備、キャッチボールの丁寧さとか。ホームランを打つとか、球が速いとかは二の次で、人間力があるかどうか。人間力がある選手が環境が良くなって野球がうまくなる。伸びしろが引き出されるのは、人間性なのかなって思うんです。技術指導もするけど、そういうメンタル的なこと、人間的なことをうるさく指導してました。
しかし、それを裏切られるような事件が起きた。JFBLでの1年目の10年6月、チームの何人もの選手が野球賭博に関与していると知らされ…。












