【石毛博史コラム 火消しは任せろ(23)】2008年ごろ、関西に独立リーグが立ち上がり、近鉄時代の同僚の村上隆行さんが率いる大阪ゴールドビリケーンズというチームができました。阪神引退後は個人で野球塾とかをやっていた僕に村上さんから「コーチとして手伝ってくれ」と声がかかり、ぜひやらせてほしいと。

 ドラフトにかからずにプロに行けず、行き場をなくした選手が集まってくる場所。そこからまたプロを目指す選手たちの力になってあげたい。四国アイランドリーグ、BCリーグが先に立ち上がり、まだレベルは落ちるけど、関西でも独立リーグを広げようということでした。

 リーグはゴールドビリケーンズと神戸9クルーズ、紀州レンジャーズ、明石レッドソルジャーズの4チーム。どこも経済的に厳しい状況だったですけど、ウチは森下仁丹がスポンサーになってくれて資金はヨソと比べたらありました。09年3月27日、京セラドームで神戸と開幕戦を行い、1万5000人の観客が詰めかけてくれた。橋下徹大阪府知事が始球式を務め、神戸の吉田えり選手も出場しました。新しいスタートという思いと、このリーグを続けていけばここからプロが生まれるんだと。

 でも…。その後に観客が集まらない。いかんせん新聞社がついている四国リーグと違って宣伝力、CM力がない。どこで試合をやっているのか分かってもらえないんです。自分らでPRをやっていたけど、難しかったですね。村上監督は毎週水曜と土曜に「おはよう朝日です」(朝日放送)に生出演して試合をアピールし、それから球場に来る。遠征も番組に出てから移動していたので大変だったと思います。

 僕らのホームは住之江球場。ボートレース場の近くなんでモーター音が聞こえるグラウンドでした。遠征はマイクロバスを借りて選手で乗り合い、車のある選手は自家用車で現地集合。一応、給料はスポンサーから出ていました。少ないのは覚悟のうえ。ユニホームを着られるだけありがたかったし、教えられることの喜びだけだったですね。

 その年のチームは前期と後期に優勝し、年間優勝。後に巨人に育成2位で指名される岸敬祐や元韓国LGのホン・ソンヨンが両エースとして頑張りました。選手にビールかけをやらせてあげたくて、村上さんの知り合いの酒屋さんに賞味期限の切れそうなビールを用意してもらい、住之江の市民プールみたいなとこを借りてプールサイドでやりました。寒かったけど、楽しかった。僕も村上さんもプロでビールかけを経験していたので選手にもやりきった達成感を味わってほしかった。独立リーグでそんなことやっていいのか?なんて批判もありましたが、やってよかった。

 そのころ“ナックル姫”として注目を集めていたのは神戸の吉田えり選手。彼女は女性という話題性だけじゃなかったですよ。