日本シリーズ第4戦は26日、京セラドーム大阪で行われ、パ覇者のオリックスが1―0で2年連続日本一を目指すヤクルトに競り勝ち、対戦成績を1勝2敗1分けとした。負ければ王手をかけられる大一番で、中嶋聡監督(53)は5回一死三塁のピンチで好投の先発・山岡から宇田川にスイッチ。計4投手によるリレーで杉本の適時打による1点を守り切った。本紙専属評論家の伊原春樹氏はこの采配を絶賛。一方で攻撃面では〝注文〟もつけた。

【伊原春樹・新鬼の手帳】オリックスが4投手による零封リレーで逃げ切り、1勝2敗1分け。負ければ王手をかけられていただけにこの1勝は大きい。強力リリーフ陣が好調なヤクルト打線の反撃を許さなかったことは第5戦以降に向けても明るい材料だ。

 この試合ではオリックス・中嶋監督の継投策が光った。特に大きかったのが1―0の5回一死からヤクルト・塩見に中越え三塁打を許すと、先発・山岡から2番手の宇田川へスパッと代えたことだ。山岡はそれまで奪った三振は1つだけ。一死三塁の場面では、打球を前に飛ばされれば失点につながる確率が高い。そこで150キロ台後半のスピードボールと落差の大きいフォークが武器の宇田川をマウンドへ送り、三振を取りに行ったわけだが、中嶋監督の狙い通り宇田川は山崎、山田を連続三振に仕留めてピンチを脱出した。

 西武時代で3年ほど一緒にやったが、捕手らしく試合をよく見て、冷静な判断を下していたことが印象に残っている。あの場面も投手陣のストロングポイントを熟知している中嶋監督らしい見事な用兵だった。

 また、捕手の若月は5回のピンチで山崎に対する6球のうち5球、山田への5球中2球でフォークを要求した。イニングまたぎで宇田川続投となった6回一死一、三塁の場面でもサンタナを0―2と追い込んだ後、フォークを要求して空振り三振。続く中村も2球連続のフォークで追い込み、最後は直球で空振り三振に斬って取った。捕手とすれば走者が三塁にいる場面では暴投や捕逸となる可能性もあるだけにフォークを要求するのは勇気がいるが、投球がワンバウンドになっても体でしっかり止めていた若月のキャッチングは見事。捕手への信頼感があったからこそマウンドの宇田川も思い切ってフォークを投げることができた。

 ただしオリックスの攻撃面では気になることもあった。初回先頭の佐野がヤクルト先発・石川の初球を左翼線へ運んで無死二塁としながら、ベンチは2番・宗にそのまま打たせて空振り三振。あの場面は送りバントで一死三塁の形をつくり、先制点を奪う確率を高めることが必要だろう。

 どこからでも本塁打が飛び出すヤクルトとは違い、得点力に欠けるオリックス打線では大量点を期待しにくい。走者が出たらきっちり進めて1点ずつもぎ取っていく。それができればここから巻き返すことも十分可能だと思う。(本紙専属評論家)