1日に心不全のため死去した〝燃える闘魂〟アントニオ猪木さん(享年79)の伝説が、各メディアで語られている。では、プロレスラーとしての「最大の武器」と言ったら、なんだろうか。卍固め、延髄斬り、原爆固めといった必殺技なのか、60分を簡単に戦い抜くスタミナなのか、どんな相手にも一歩も引かない「鋼のメンタル」なのか。
それは「会長の目つき、眼光だよ」というのは猪木さんの弟子で〝元暴走王〟の小川直也氏だ。猪木さんが引退する前年の1997年に、バルセロナ五輪柔道メダリストから猪木さんの門下生となった。スパーリングで現役晩年の燃える闘魂の胸を借りたこともあり、その際に強烈な印象があるという。
「会長の目が、オレが小中学生の時、金曜午後8時の中継『ワールドプロレスリング』で見たものと同じだったんだよね。(タイガー・ジェット)シン、(スタン)ハンセン、(ハルク)ホーガン、アンドレ(ザ・ジャイアント)と戦っていた時と同じ。会長は目で『このヤロー! ぶっ殺してやる!』と言ってるんだ。やっぱりその目をされたら、『これはかなわねーな』と心底思ったよ」
当時の小川氏は転向前年の96年アトランタ五輪に95キロ超級代表として出場。アトランタ、シドニー五輪と重量級を連覇したダビド・ドイエ(フランス)と激闘を繰り広げたばかりだった。そうした世界トップクラスのアスリートを、当時54歳の燃える闘魂は眼光だけであっさりと白旗を掲げさせたのだ。
「猪木さんの必殺技は卍固めでも延髄斬りでもない。師匠はいくつになっても、いや最期まで同じ目で勝負していたんだ」。静かに師を語る元暴走王の言葉に、珍しく納得させられた。












