1日に死去したプロレス界のスーパースター、アントニオ猪木さん(享年79)は、現役時代に数々の激闘を展開してきた。異種格闘技戦では、ボクシング世界ヘビー級王者モハメド・アリ、柔道五輪金メダルのウィリエム・ルスカ、キック王者ザ・モンスターマン、極真空手の〝熊殺し〟ウィリー・ウィリアムスらと歴史的な死闘を繰り広げたが、リング上ではこんな伝説が存在した。
「猪木はサル関節だから関節技が決まらない」
サル関節とはサルのように柔らかい関節の持ち主という意味で、生まれつき関節の可動域が広い「二重関節」のこと。これは新体操選手やバレリーナに多いことで知られているが、猪木さんも先天的に独特の関節構造があるため、相手が関節技を仕掛けても逆を取ることができなかったという。
1986年2月に行われた藤原喜明との一騎打ち(両国国技館)でアキレス腱固めを決められた際に、「角度が違う」と言って平然としていた…というのは有名な話だ。
本当に燃える闘魂には関節技は通じないのか? 猪木さん本人に〝超人伝説〟の真偽を直撃したことがある。猪木さんいわく…。
「(格闘技イベント)PRIDEの時かな、格闘技の連中に(関節技を)決めさせたことがあるけど(格闘家が)『決まらない』とね。これは決まらないのではなくて、息の抜き方があるということ。要するに決められてしまったら、(関節が)折れてしまう可能性がある。(折られる前の)ギリギリのところで力を抜くと、相手は『ここまでやったのに何で決まらないの?』ってことになる。そう(自分で)もっていってるんだ」
攻防の中で関節技を無理に外しにかかるのではなく、あえて力を抜いて平然とする。一歩間違えればそのまま折られる危険性もあるが、そうなる前に「猪木には関節技が通じない」と相手に思わせ、別の攻撃に移行させていたというのだ。
相手の心理を読み抜いたまさに超人のテクニックだが…猪木さんはこう続けた。
「オレは何度も言っているけど、(技の)基本を誰からも教わったことがない。同じ技でも自分の体と感性でやってきた。だから(自分の技術を)人に教えることができないんだよ、フフフッ…」
猪木さんらしく、そうけむに巻いていた。果たして本当のところは…。












