巨人は9日の中日戦(東京ドーム)に延長10回、1―3で敗れ、3連勝を逃した。依然としてリーグ5位に沈んだままだが、明るい材料もある。指導者1年目の亀井善行外野守備兼走塁コーチ(40)は、極度の送球難を抱えていたアダム・ウォーカー外野手(30)の育成に尽力。その指導法に隠された鋭い〝観察眼〟も評価され、順調なスタートを切っている。
またもお付き合いだ。0―1の9回に丸がR・マルティネスからバックスクリーンへ起死回生の同点ソロ。しかし、延長10回に犠打野選など守備のミスも重なり、守護神・大勢が2失点(自責点1)を喫して万事休した。打線は8回まで無得点で7回1失点と粘投した戸郷も見殺し。試合後の原辰徳監督(64)は「戸郷の時、なかなか援護できなくてね。いい投球を我慢強くやってくれているんですけどね。攻撃陣が申し訳ねえなあという感じだね」とかばうしかなかった。
この日は1・5ゲーム差にひしめく3位の阪神、4位・広島も敗れたものの、浮上のチャンスもフイに…。すでにV奪回は絶望的だが、昨季限りで現役を引退し、指導者1年目の亀井コーチの手腕は高く評価されている。球団関係者も「指導法だけでなく観察眼や分析力もさすがのものがある」とうなっていた。
代表的なのはウォーカーの育成だ。米独立リーグ時代を含め、守備練習をほとんどやったことがなかったため、来日当時は極度の送球難。亀井コーチがほぼ毎日のように試合前に付きっ切りで指導に当たり、見る見る上達させたわけだが、むやみに教え込むことはなかった。亀井コーチはこう明かしている。
「彼は守備だけでなく、バッティングのこともあるので。〝それどころじゃねえ〟と思っている日も絶対ある。(そういう気持ちになることは)僕も分かっているんで。あまり乗り気じゃない時は(本人も守備特訓を)あまりやりたがらないですし。だから、表情を見ているし『今日の機嫌はどう?』とか聞きますもん」
ウォーカーの課題が守備であることは明白だが、野手である以上は打撃も関わってくる。凡退する試合が続けばストレスもたまり、周囲の助言がうるさく聞こえることもある。相手に〝聴く耳〟がない状態で教えたところで悪循環に陥ってしまう。そうならないように、亀井コーチはウォーカーの精神状態を日々観察しながら指導に強弱をつけていたという。
自身の現役時代の経験がコーチ業に生かされているわけだが、一塁コーチだった前半戦には指揮官をもうならせた。6月3日のロッテ戦(東京ドーム)で、相手先発・佐々木朗を盗塁でも揺さぶり、5回までに5得点を挙げてKO。指揮官も「亀ちゃん、亀ちゃん。亀ちゃんの努力のたまものよ。亀ちゃんに聞いて」と笑顔が絶えなかった。ほかにも戦況に応じて外野の守備位置を細かく指示し、窮地をしのいだこともあった。
第2の野球人生を歩み始めた亀井コーチの指導力は、今後のチーム強化につながりそうだ。












