第104回全国高校野球選手権大会の準決勝(20日)の第2試合で近江(滋賀)は下関国際(山口)に2―8で敗退。滋賀県勢初の優勝の夢はついえた。

 近江は先発した主将の山田陽翔(3年)が7四球で5失点と苦しみ、7回に二死一、二塁のピンチを迎え、2番手星野(3年)にマウンドを譲った。その後は右翼に回り、9回二死の場面で打席に入るも、放った打球は左翼への飛球…。その瞬間に最後の夏が終わった。無情のサイレンを聞くと、一塁側アルプス席と右翼席に向かって「ありがとう」と叫び、観客の心を揺さぶった。

 多賀監督は「もう1人2人、彼に近いハートを持った子がいてくれたら頂点はとれたかな。山田がしんどいときに打つ方でどれだけカバーできるか。投打のかみ合う試合ができるかどうかという中でそれが足りなかった」と敗因を振り返り、山田との3年間を「こういう子が日本一を獲ってくれるんだろうな、と今も思う。近江の野球部に大きな財産を残してくれた」と感慨深く語った。

 昨夏に4強入りし、今春のセンバツでは大阪桐蔭に決勝で惨敗。日本一へのリベンジはかなわなかった。この日は7回途中を132球を投じ、5試合で644球。高松商との準々決勝で右足を痛め、疲労はピークに達していたはずだ。それでも「全く問題ないです」と言い切り「四球がすごく多くて、前半なかなかリズムに乗れなかった。自分の状態的にはまだまだいける気がしていた」と振り返った。

 さらに「たくさんの応援が自分たちの背中を押してくれた。一緒に日本一になりたかった。吹奏楽部の応援は一人の打席も一人じゃないような気がした」と何度もスタンドへの感謝の言葉を並べ、涙をぬぐった。

 高校野球ファンの胸を打つ力投を見せた山田。今後について「プロにいかせていただけるならいきたい。自信があるのは投手。できれば投手として」とプロ志望届を提出することを明かした。甲子園での経験を活かし、次のステージでもファンを魅了するプレーを見せてくれるはずだ。