歴史的偉業となったロッテ・佐々木朗希投手(20)の完全試合を、球場内の放送ブースで実況し、お茶の間に届けたのが「日テレNEWS24」の吉田伸男アナウンサー(55=フリー)だ。自身は大のロッテファンで、ロッテの節目の試合にはことごとく立ち会ってきた〝伝説の実況アナ〟が、当日の熱狂の舞台裏を明かした。

 ――まずは完全試合達成を見届けた瞬間の心境を率直に

 吉田アナ 信じられないという感じ。28年ぶりの完全試合なので、現役アナで完全試合を実況した人はおそらく他にいない。まったくの想定外で、超レアケースなので。達成直後は現実と思えなかったです。

 ――いつも冷静な吉田アナが珍しく興奮している印象を受けました

 吉田アナ 野球実況は冷静にと心がけているんですが、(競馬の)GⅠのゴール前みたいになっていたかもしれない(笑い)。音声さんにも、8回くらいからボリュームが上がって機材の調整が大変だったと言われました。

 ――完全試合への意識はどれくらいから

 吉田アナ 8回くらいからですね。それくらいレアなことですし、5回までは13者連続奪三振の記録もありましたから。完全試合とかノーヒットノーランに触れ始めると途切れるというのが〝野球実況あるある〟なんですが、解説の有藤(通世=元ロッテ)さんが試合前からずっと「完全試合だ!」とおっしゃっていたので、変な「呪い」がなくて良かったのかもしれないですね(笑い)。実は先週も有藤さんと実況で、その時から「佐々木朗は完全試合かノーヒットノーランをやる投手」と言っていたんです。

 ――完全試合が成立した瞬間の「伝説が今生まれました」という実況はいつ考えたか

 吉田アナ 準備は全くしていないです。たまたま出た言葉なので、言ったこともよく覚えていないです。そんなこと言ってたんですね(笑い)。とっさに出た言葉です。

 ――有藤さんの「(亡くなった)お父さんに見せたかったですね」という言葉に対して「きっとお父さんも見てますよ」と返したフレーズも印象的でした

 吉田アナ それは本当に思いました。きれいな青空で、佐々木投手がさわやかで、お父さんが空から力をくれていたんじゃないかと。それくらい劇的なシーンでしたから。

 ――2005年の優勝や井口監督の引退試合ホームランなどロッテの劇的なシーンに縁がある

 吉田アナ あまり意識はしていなかったです。縁があるというか、ファンなので縁があると思いたいですね。実は2019年の交流戦で中日を相手に5点差からサヨナラ勝ちをした時も、実況をしていました。鈴木大地選手(現・楽天)がバットを折りながらサヨナラタイムリーを打った試合です。

 ――佐々木朗投手の今後について

 吉田アナ 初完投が完全試合って、聞いたことがないですよ。今までは球数も管理されてガラスのようなイメージだったんですが、105球で最後まで投げちゃいますから。ただ、佐々木朗投手は未完成だと思ってます。完全試合をやって未完成って変な話ですが(笑い)。今は決め球が真っすぐとフォークのみですが、スライダーやカーブも決め球として使えるようになるとすごいことになる。

 ――また吉田アナが伝説に立ち会うのを楽しみにしています

 吉田アナ 実は次の登板予定日(17日)も私が実況なんです。佐々木朗なら、ひょっとしたら今年中にもう1回、いや2回くらいやるかもしれないと思っています。次回の相手が日本ハムで、なかなかチーム状態が上がらず苦しんでいる相手。もしも2試合連続で完全試合になったら伝説ですよね。(1試合)20奪三振の方も、期待したいです。

(インタビュー・岩上裕一)