DDT2日の愛媛・アイテムえひめ(松山市)大会で、史上初めて現職の県知事がアイアンマンヘビーメタル級王者になった。

 第1試合後に王者・男色ディーノ(41)が島谷常寛(23)に急襲されて王座から転落。新王者は第2試合で9選手参加の時間差入場バトルロイヤルを行ったが、二転三転の末、最終的に王座は大石真翔(40)の手に渡った。

 試合後には大会冒頭でオープニングコールも務め「長年のプロレスファンだった」と公言した中村時広愛媛県知事(59)が、勝利者へ目録を渡して万々歳…となるはずだったが、セレモニー中にバトルロイヤルで敗れた大鷲透(43)と朱崇花(20)が乱入。朱崇花は旋回式シットダウンロックボトムで大石をKOすると、大鷲ともつれて場外へ転落した。

 リング上に残されたのは大の字の新王者と中村知事のみ…。ここでプロレスファンの血が騒いだのか、政治家としての闘争本能に火がついたのか、中村知事はなぜか大石をカバーして3カウントを奪取。何と同王座史上初めて現職の県知事が王者となってしまった。

 しかしタダでは終わらないのがアイアンマンヘビーメタル級王座だ。ここですぐさまディーノがリングインしてリップロック(キス)で、中村知事の唇を強引に奪おうとするが、知事は未然に防ぐとギブアップ。回りに回ってベルトは結局ディーノの手に戻った。わずか数秒の戴冠劇ではあったが、中村知事は男の中の男として、プロレス史にその名を永遠に刻むことになった。

 メインのKO―D無差別級選手権は、王者・遠藤哲哉(27)が〝荒鷲二世〟坂口征夫(45)の殺気あふれる打撃と関節技に大苦戦しながらも、シューティングスタープレスで3度目の防衛に成功した。

 これで7月15日の大田区総合体育館大会メインは、遠藤と5月の「KING OF DDT 2019」を制した竹下幸之介(24)の王座戦に決定。しかし「いつでもどこでも挑戦権」を保持する高木三四郎社長が「49歳をなめるなよ!」と宣言したため、大田区決戦の前に権利行使=王座戦の可能性も出てきた。大舞台でエース・竹下の挑戦を受けるのは、DDT屈指のハイフライヤーか、大人げない大社長か。