無名外国人がマスクマンに変身した場合、見かけ倒しに終わるパターンが多い。ましてやそれが中途半端なタッグとなるとトホホさは倍増する。

 1976年4月の国際プロレス「ダイナマイト・シリーズ」に初来日した“恐怖の紅サソリ軍団”ザ・スコーピオンズ(1号、2号)はその典型だった。国際的人気を誇るヘビメタバンドとはもちろん関係ない。ちなみに来日前はザ・スパイダーズを名乗っていた。音楽好きだったのだろうか…。

 スコーピオンズはグレート草津、マイティ井上のIWA世界タッグ王座に挑戦(4月14日大阪)するために来日。このシリーズはサソリ軍団の他にジ・アンダーテイカー(WWEの怪人とは全くの別人)、ジ・インフェルノ、ゼブラ・キッド(名選手の初代とは赤の他人)とマスクマンが5人も勢ぞろい。国際らしいB級センスに満ちていた。来日早々に行われた作戦会議を本紙は徹底取材している。「サソリの異名を持つザ・スコーピオンズは、ザ・スパイダーズを名乗っていたころの毒グモをあしらった覆面をつけ(注・実に中途半端だ)目の部分には黒い網がかかっており、素肌が出ているのは唇と手首だけという薄気味悪さだ。1号は『日本は初。2号は最高のパートナーだから、国際プロ最強のタッグチームと当たっても負けることはない。IWA世界タッグはこの手にいただく』と豪語した」

 しかし本番になると単なるハッタリであることが判明する。「リーダーは1号だが場外乱闘の間に入れ替わるかく乱戦法に出てくる。マスクにはビールの栓、タイツの中にはビールの栓抜き、シャツの中にはクモの巣に似た大きな網を隠しており、ズルいインサイドワークを発揮する」と本紙は報じている。

 クモの巣と称した変な網を相手に投げつける攻撃は王座戦前から使っていたが、効果があったのかは疑問だ。単なる反則攻撃なのだが、そもそもサソリなのかクモなのかすら、ハッキリしない。

 結局、王座戦は2号が井上のバックドロップに沈んで完敗。1号は「再戦(5月5日前橋)で必ず王座を奪う」と豪語したが、またもや惨敗に終わり、恐怖のサソリ軍団はプロレス史の闇に永遠に葬られた。