【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】 淡々と自分の役割を全うするスタイルは現役時代と変わらない。阪神の第2次岡田政権で重要な役割を担う今岡真訪打撃コーチ(49)。球団史上初の連覇へ、秋季キャンプでも若虎の指導に当たったが、どんなスタンスで臨んでいたのか。

「いや、何も変わらないですよ。最初に金本さんの時代に二軍コーチで呼んでもらってね。そこから立場(肩書)が変わるたびに作業内容は変わってますけど、選手にアプローチしていくスタンスは僕の中では何も変わってないですよ」

 今岡コーチの指導者歴は現役時代の2012年にスタートした。ロッテの選手兼二軍打撃守備コーチという肩書が起点だ。そこから15年に金本知憲監督率いる阪神の二軍打撃兼野手総合コーチに就任。17年からはロッテ二軍監督、21年は同ヘッドコーチというように着実に経験を積んできた。

 そして22年オフ、満を持して岡田阪神のスタッフに入閣。一軍打撃コーチとして18年ぶりのリーグ優勝、日本一に貢献した。さまざまな肩書でセパ両リーグの指導者を務めてきた蓄積は、阪神球団の財産と言っていい。

 20年シーズン中、イースタン・リーグ公式戦を訪れロッテ・今岡二軍監督を取材したことがあった。その際のコメントが強く印象に残っている。

「監督の仕事は全体のマネジメント。だから今は全体を見渡すことを意識しています。それぞれの役割を担うコーチがいるので僕自身が直接、打撃指導などをすることはないです。ただ、眺めているだけではなくて『ちゃんと全員を見ているからな』ということを選手たちには意識させているつもりです」

 この言葉を聞いた瞬間、誰かに似ていると思わずにはいられなかった。それは岡田監督だ。まずはしっかり見る。そこから方向性を見極める。その手法はまさに〝岡田流〟だろう。

 高知・安芸での秋季キャンプで今岡コーチは「選手たち個々がどう感じ、自らどう変化しようと取り組んでいるのかを僕たちが感じ取ってあげることが大事。それに沿ってどう動いていくのか。選手によっていろいろと違うと思いますけどね。僕は自分自身が現役時代、そうしてもらって助かったなと思えたような接し方を選手にしていきたいですね。それはずっと変わらないと思います」と言葉を選びながら話した。

 03年首位打者、05年打点王。タイプの違う打撃スタイルを自在にこなし、超一流の結果で2度のリーグ優勝に貢献したレジェンド。今は第2の今岡を育て上げるべく、指導者としての手腕に磨きをかけている。