不倫・瀬戸大也を活動停止に追い込んだ水連の「初動ミス」

2020年10月14日 05時15分

瀬戸大也

 不倫スキャンダルに揺れる競泳の東京五輪代表・瀬戸大也(26)にようやく審判が下された。日本水泳連盟の臨時理事会(13日)による処分は「年内の活動停止」。来年夏の五輪代表の座は守られたが、名誉、信頼、肩書を失った上に競技に復帰できぬまま2020年を終えることになる。やや重めと言える処分内容だが、それ以上に水連の「初動ミス」を指摘する声がここへきて続出。金メダル候補を必要以上に苦しめた対応の甘さは、あの〝2つの組織〟にそっくりだという。

 トラブル対応で最も重要なのは「初動」。スポーツ界に限らず、一般企業でも不祥事の際は初期判断がすべてを決める。今回はそこに〝落とし穴〟があった。

 騒動をおさらいしよう。不倫騒動が初めて世に出たのは先月23日のデイリー新潮(電子版)の第一報。この日、本紙は水連を直撃したが「報道は知っていますが、まだ事情確認できていない」との返答だった。翌24日発売の「週刊新潮」で詳細が報じられ、同日夜には瀬戸と妻の優佳さん(25)が謝罪文を公表。だが、その後も水連は事態を静観するばかりだった。

 30日になって瀬戸サイドが先に動いた。五輪代表の主将を辞退し、所属先のANAとの契約解除に合意。複数の広告媒体から徐々に姿を消していったが、この段階でも水連は決断を下さない。今月1日、週刊新潮の第2弾で新たな女性との密会が報じられると、ようやく6日に主将辞退を承認。それでも処分は先送りにされ、関係者は同誌の第3弾を恐れる始末…。結局、12日に事情聴取を行い、処分が正式決定した時には第一報から約3週間も経過していた。

 この対応に他競技団体から「明らかに遅すぎる」「もっと早く処分を決めるべき」と瀬戸への同情の声が漏れる。もちろん悪いのは家族やスポンサーを裏切った瀬戸本人だが、もっと迅速に対応していれば約3週間も〝さらし者〟にされることはなかっただろう。

 企業の不祥事対応の専門家でもある広報・危機対応コンサルタントの山見博康氏(75)は「新潮から報道が出た時点でただちに本人を事務所に呼びつけ、事実関係を聞き、本人が認めたら厳正に処分を決定する。企業ではこれが当たり前の流れ。水連はそれを怠った」と指摘。その上で「水連は事の重大性、社会的影響力の認識が甘い。スポンサーは契約を切ればおしまいですが、企業でいえば瀬戸選手は大切な社員。しかるべき処分もするが、守らないといけない。つまり愛がないんです」と一刀両断にした。

 かつて全日本柔道連盟の広報アドバイザー、日本バスケットボール協会の裁定委員長を務めた山見氏は、両団体が起こした不祥事の際はすぐに当人の謝罪の場を設けた。その経験を踏まえた上で「今回の水連は〝日大アメフト問題〟と一緒ですよ」とぴしゃり。2018年5月、日大アメリカンフットボール部の選手が危険なタックルでケガを負わせた問題で日大のドン、田中英寿理事長は公の場に現れず雲隠れ。この姿勢がいまだ瀬戸に謝罪の場を設定しない今の水連と重なるという。

 また、別の関係者は「釈明の場を与えないやり方はあの時の吉本と一緒」とみている。昨年夏の闇営業問題でお笑いコンビ「雨上がり決死隊」の宮迫博之(50)と「ロンドンブーツ1号2号」の田村亮(48)の謝罪会見を拒み続けた吉本興業になぞらえた。第一報の時点で潔く会見を開いていれば、ここまでのイメージダウンにはならなかったということだ。

 ジリジリと処分を引き延ばされ、公の場にも出してもらえない。その間に次々にスポンサーが離れていき、まるで真綿で首を絞められるような生き地獄。実はこれが本当の〝お仕置き〟だったら…。これ以上、重い処分はないだろう。