【フィギュア】質の羽生&紀平にうれしいルール変更

2020年05月13日 16時40分

羽生結弦(右)と紀平梨花

 日本に追い風か。国際スケート連盟(ISU)は2020~21年シーズンで適用するフィギュアスケートの規定を一部変更することを発表。4回転ジャンプのルッツ、フリップ、ループの基礎点が全て11・00点に統一された。この変更は現在の勢力図に少なからず影響を与えそうだが、五輪2連覇の羽生結弦(25=ANA)、紀平梨花(17)の“日本の男女エース”にとっては好材料になりそうだ。

 今回の変更で、4回転ルッツの基礎点は0・50点下がり、逆にループは0・50点上昇、フリップは現状維持となった。これでルッツ、フリップ、ループは全て11・00点で揃った。一方、3回転ジャンプはルッツが5・90点から0・60点下げられ、フリップと同じ5・30点に設定された。

 ルール変更はスポーツの世界に付き物。そのたびに不利になったり、恩恵を得る者が現れる。過去にはノルディックスキージャンプで板の長さが変更されて日本人が割を食ったことがあるなど、大きな影響を受けるケースもある。

 今回の規定変更について元国際審判員の杉田秀男氏(85)は「ジャンプの技術がどんどん進歩し、みんな高得点を狙って難易度の高い技に挑戦するようになった。だからケガが多くなった」と指摘した上で「フィギュアは総合力のスポーツ。美しさや音楽との調和などバランスが必要だと思う。ジャンプに偏るのは決していいとは思わない」と、3つのジャンプの基礎点が揃えられたことに賛同した。

 それを踏まえ、日本の羽生、紀平にとっては「プラスだと思います」との見解を示した。杉田氏は「ジャンプの種類による基礎点の差がなくなると、結局は質の評価、つまりGOE(出来栄え点)が重要になる。一つひとつのジャンプの質が非常に高い羽生選手にとってはいいでしょう」とメリットを口にする。

 さらに、昨年のグランプリ(GP)ファイナルで43・87点差をつけられて優勝をさらわれたライバル、ネーサン・チェン(21=米国)との差も縮まる可能性が高い。「羽生選手はループをしっかり跳んでいる。ネーサン選手もジャンプの質はいいが、これまで基礎点で水をあけられていた部分もあるので、その点差が埋まる。羽生選手にはプラスだし、ネーサン選手にはプレッシャーになるでしょう」

 羽生が挑戦中の大技、クワッドアクセル(4回転半ジャンプ)が12・50点と維持されたのも追い風となるはずだ。

 一方、女子の勢力図はどうか。昨シーズン、GPファイナルで表彰台を独占した“ロシア3人娘”の一人、アレクサンドラ・トルソワ(15)は女子初の4回転ルッツ成功者。だが、その基礎点が下がったことで、杉田氏は「ただ跳べばいいって具合に力任せに跳ぶより、ジャンプの質が高く、表現力のある選手がプラス」と解説。そうなると、スケーティング技術やGOEで勝るアリョーナ・コストルナヤ(16=ロシア)、そして紀平が浮上してくる。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、世界選手権(3月)が中止となるなどシーズンは打ち切りとなった。心機一転で迎える来季は日本勢の逆襲なるか。