陸上のセイコー・ゴールデングランプリ(8日、東京・国立競技場)を前に、昨夏の東京五輪1500メートルで8位入賞を果たした田中希実(22=豊田自動織機)は、逆境をプラスに変えてみせる。

 今季は400メートルから1万メートルまで幅広い種目にエントリーし、実戦でしか味わえない感覚を養ってきた。先月29日の織田記念国際後には、右太ももに違和感が生じ、5月1日の木南記念を欠場しながらも、3日の静岡国際に出場。「まだ探り探りの状態。(不安は)完全になくなってはいないけど、静岡国際のレースでも走れたので、明日はいいスピード感で走りたい」と悲観する様子は見られない。

 現状ではトップスピードを出す練習を控え、自身の体と相談しながら調整を進めている。「正確に調子を測れていない」と冷静に自己分析した上で「生もののレースを楽しみたい。その中で自分がどう判断して、どうレースを作れるか。会見後に練習するので、そこで組み立てていきたい」と展望を語った。

 田中が国立のスタートラインに立つのは、無観客で開催された東京五輪以来約9か月ぶりとなる。有観客での一戦に向けて「タイムよりもレースを楽しめるようにすることを目標にしたい。歓声のある中で国立で走って初めて分かることがあると思うので、明日走ってみて湧き上がってくる感動や感情を味わいながら走りたい」と声をはずませた。

 レースを重ねるごとに学びを深めてきた田中。久しぶりの大舞台でも進化のヒントを得る大会にする。