美談のはずが… ロシア人メダリスト「抱擁写真」が〝軍事問題〟の混沌

2021年09月11日 06時15分

健闘を称え合ったマリア・ラシツケネ(右)とヤロスラワ・マフチフ(ロイター)

 東京五輪女子走り高跳びにロシアオリンピック委員会(ROC)として参加し、金メダルに輝いたマリア・ラシツケネ(28)と銅メダルのヤロスラワ・マフチフ(19=ウクライナ)の感動の抱擁写真が〝軍事問題〟に発展。いまだに尾を引いている。

 2人は競技後、それぞれROC旗とウクライナ国旗を広げ歓喜の2ショット。さらに旗を体にまとった状態で固く抱き合った。選手が互いをたたえ合う、スポーツらしい光景。しかし、ラシツケネはロシア軍のスポーツ組織「CSKA」所属で、マフチフはウクライナ軍のジュニア軍曹。クリミア半島を巡り緊迫した両国の〝軍人同士〟が抱き合う格好になった。

 ロシア「RT」によると、特にウクライナでマフチフに対し「CSKAの選手とポーズを取って、国に恥をかかせた」などと批判が殺到。ウクライナの国防副大臣が「選手たちは、ウクライナはロシアとの戦争が続いており、一定の制限と責任を課していることを理解しなければならない。軽率な行動が敵の特殊情報作戦の対象になる可能性がある」とSNSに投稿する事態となった。

 騒動は1か月が経過した今もくすぶっている。両選手はスイスで開催された陸上「ダイヤモンドリーグ」に出場。オーストラリア選手がSNSに投稿した選手6人での笑顔の集合写真に、2人が隣同士で収まった。マフチフの肩にラシツケネの手が置かれているように見えるため、ロシアメディアが「抱きしめた」と報道。再び問題になりかけたため、ラシツケネの夫が「その手は後ろの選手の手だ。何もないところで、デタラメでかき回さないでください!」と反論して火消しに走った。

 スポーツと政治は別物と言われるが…。今回の騒動を見る限り、その考えはまだまだうわべだけのようだ。

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