「風俗店の違約金」の名目で127万だまし取る “劇場型詐欺”の悪質手口

2018年09月06日 17時00分

歌舞伎町の路上には客引き防止看板が至る所にあるが、被害はなくならない

 警視庁新宿署は4日、風俗店の違約金と称し、地方から来た観光客から現金127万円をだまし取った詐欺容疑で、東京都東久留米市の風俗店従業員、波多野幸大容疑者(35)と埼玉県川越市のアルバイト石川龍馬容疑者(28)を逮捕した。最近、複数の人間が地方から来た観光客をターゲットに金をだまし取る“劇場型犯罪”が東京・歌舞伎町周辺で多発。同様の事件ではアイドルグループ「ももいろクローバーZ」の名前を使う手口もあった。

 被害に遭ったのは長野県松本市の会社員男性A氏(21)。6月中旬、上京したA氏は夜遊びを考え日本最大級の繁華街・歌舞伎町に宿をとり、ロボットレストラン近くの路上で、キャッチの男から「AV女優、未成年とエッチできるよ」とスマホで画像を見せられた。
 
 キャッチに呼ばれて来た石川容疑者に未成年者のサービス代として7万円を手渡し、ラブホテルでウキウキしながら待っていると、現れたのは36歳の中国人の女(7月4日に逮捕後、処分保留で釈放)だった。
 
 がくぜんとして拒否するA氏に女は「キャンセル料10万円」を要求。派遣元の店に電話すると、波多野容疑者からキャンセル料を再度説明された。何のサービスも受けず、肩を落としてホテルを出ると、今度はA氏の前に店の従業員を名乗る男X(後に逮捕)が現れた。

「女と店にそれぞれ10万円ずつ違約金が必要」と言われ、応じた。さらに「うちの店はキャッチ使ってない。規約違反だから100万円払って」と求められ、コンビニのATMで口座の預金を見せて支払ってしまった。

 預金残高にはなんと800万円も入っていたものだから、悪党は「まだ引っ張れる」とニヤリ。Xとさらに別の男Yと一緒にファミレスに連れて行かれると「未成年の件は店としても穏便に済ませたいが、規約違反は実はもう1件ある。明日、池袋駅の北口に来い。また100万円用意しろ。電話に出ないと警察に行くぞ」と脅された。

 運転免許証までコピーされて逃げ場がなくなったA氏は、ここでようやく警察に駆け込んで被害を訴えたという。

 新宿署は池袋に現れたYを現行犯逮捕。供述によって、劇場型犯罪グループは芋づる式に逮捕された。

「未成年を抱こうとした後ろめたさもあって被害を申告しにくい。次から次に新しい人間が現れると、被害者は混乱して詳細を覚えられない」(同署)

 犯行を特定されにくいことで、犯罪グループをつけ上がらせているというわけだ。

 同様のグループ犯罪は新宿、池袋などでまん延しており、特に地方から出てきた男性観光客が狙われているのが特徴だ。

 今年に入って新宿署管内では「ももいろクローバーZ」のライブ帰りの男性(福岡県在住)が、ライブTシャツを着て歌舞伎町を歩いていたところ「ももクロの緑(今年1月に卒業した有安杏果)に似た子とエッチできるよ」と吹き込まれ、同様に違約金として70万円をだまし取られる詐欺事件が起きている。当然、男性の元に派遣されてきたのは有安とは似ても似つかない女性だった。

「地方から来た人だと、都会に過度な期待を持っていて、だまされてしまうのかも」(同署)

 歌舞伎町の客引き行為については新宿区の「公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例」で禁止されているが、夜10時を過ぎると、悪質なキャッチが出没し始めるという。

 東京観光では、違法な客引きについて行ってもボッタクリに遭うだけだということを念頭に置いたておくべきだろう。