DDTの高木三四郎社長(51)と秋山準(52)が、ひと足早く激動の2021年を振り返った。昨年末に全日本プロレスを退団した秋山が2月に正式な所属となり、団体はどう変わったのか。また来年デビュー30周年を迎える秋山は今、何を思うのか。


【高木三四郎&秋山準インタビュー前編】

 ――秋山選手が所属となった1年だった

 高木社長(以下高木) 外からの見られ方が明らかに変わったと思ってます。身近な話で言うと、プロレス好きな高校、大学時代の友人から「いまDDTに秋山準がいるんや」という声が出ている。DDTの所属選手も、一層見られるようになったんじゃないかなと。

 秋山 変えるという意識はなかった。DDTにはDDTのよさがあるので。ただ(男色)ディーノ選手だったり、楽しい部分が全面に意識としてあるのを、戦いという部分と対等、それ以上に持っていきたいなと。最初はめちゃめちゃ以上に持っていきたいと思ったんですよ。だけどお互いにアップして、同じくらいの感じで上がっていくのがいいのかなって最近は思っていますね。俺はディーノ選手に関しては全面的に認めている。あそこまで「男色ディーノ」をつくり上げたのはすごいし、全く人にないものをやっているから。

 ――ヘッドコーチとしては

 秋山 受け身を一からというのはないけど、やりながら教えていくのがいいのかなと。俺もまだギリギリ上の方でできているので。できなくなったら口であーだ、こーだ言わなくちゃいけないけど、試合を通じての簡単なアドバイスですよ。パッと言ってそれで終わり。

 高木 若い選手を中心に「準烈」で組んでいた岡谷(英樹)とか明らかに変わったと思いますし、渡瀬(瑞基)も。対戦することが多かった「サウナカミーナ」も竹下幸之介だけじゃなく勝俣瞬馬、上野勇希、MAOとかもすごく変わってきている。より一層、彼らがやってることが際立っている。(11月3日大田区大会のD王 GPでの)秋山さんと上野の試合は、上野が持っている図太さが出ていた。普通なら萎縮するところなんでしょうけど、秋山さんの頭をなでなでしたんですよ。あの時、控室が凍って「殺される」って思ったんですよ(笑い)。

 ――2022年の秋山選手への期待は

 高木 今年はちょっと様子見というのがお互いにあったと思うけど、来年は所属としては2年目になるので、もう一つ突っ込んだ部分でですね。シングルでの戦いが多かったと思うんですけど、ユニットやタッグ、6人タッグでも違う秋山さんの持っているノウハウがあると思うので。個人的に思うのは、入団される時に「誰か一人でいいから一から育ててみたいと」と言っていたので、その誰か一人を探したいですね。大型選手をどこからかスカウトして預けたい。上は五輪アスリートから下は高校のインターハイクラスまで。身長も最低185センチ以上。基本は秋山さんがマンツーマンで指導すると。3人は用意しないと、2人くらい逃げちゃうかもしれないから(笑い)。

 秋山 全然いいですよ。細かい部分で僕らが教わってきたのとDDTが教わってきたのは違う。そのちょっとの違いを完璧にこちらにできるなら面白いかもしれない。ちょっと部分なので決して交わらないことはないし、僕自身が全然DDTでできているから。

 高木 それに来年は秋山選手のデビュー30周年で、DDTも25周年。新日本プロレスさんが50周年、全日本プロレスが50周年。9月くらいに秋山さんを祝うべく何かしら大会ができればなと思っています。秋山さんの過去、現在、未来が見えればいいのかなと。(人選は)秋山さんにお任せしたいなと。歴史を見せてくれたほうがいいと思いますので。

 秋山 (移籍したばかりで)申し訳ないですね(笑い)。先輩もだんだんいなくなって、なぜか俺だけ元気だという。30半ばでは40そこそこでやめるだろうなと思っていた。いつやめてもいいとは思っていますけど、そろそろやめようかなと思った時に今回も高木さんから話をもらって火をつけてもらった。竹下くんもそうだし遠藤(哲哉)くんもそうだし、いい選手を見て、俺もなにか鍛えたいなという思いが出てきて30周年を迎えられる。ただ空気感で、いらないなと思った時はあれですよ(笑い)。その空気は割と読めるんです。DDTにお世話になっているので、DDTの選手に何を教えられるか、伝えられるかを考えたいなと思いますね。