【昭和~平成 スター列伝】巨象VS黒い魔神! 57年前の91分超絶死闘

2021年11月14日 10時00分

ブラジルの顔面をかきむしるモンスーン。前代未聞の91分の大死闘だった
ブラジルの顔面をかきむしるモンスーン。前代未聞の91分の大死闘だった

 WWEの“中東版レッスルマニア”こと「クラウン・ジュエル」(サウジアラビア・リヤド)は10月21日(日本時間22日)に開催され、大成功のうちに幕を閉じた。注目の“怪物”ゴールドバーグは、得意の短期決戦で前WWE王者のボビー・ラシュリーをスピアー葬。息子ゲイジ君の敵討ちに成功した。

 短期決戦はプロレスの魅力のひとつだが、長期戦にもまた独特の醍醐味がある。現在のWWEでは時間差バトルロイヤルのロイヤルランブル戦や、ラストマンスタンディングマッチが長期戦の代表格だが、前身のWWWFには1960年代から異例の「120分3本勝負」なる試合形式が存在した。

 2018年6月9日大阪では当時のIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカが、ケニー・オメガと時間無制限3本勝負を行い、トータル64分50秒の激闘の末、敗れているが、「120分」という響きはなぜか強烈なインパクトがある。

 今から57年前の64年1月4日、WWWFの総本山、ニューヨークのMS・Gで“巨象(当時は白象)”ことゴリラ・モンスーンと“黒い魔神”ことボボ・ブラジルが、120分3本勝負で激突している。

 勝者はWWWF世界ヘビー級王者で“人間発電所”ことブルーノ・サンマルチノへの挑戦が確実視されていた。試合総時間は実に91分。本紙は1面で「白象91分の死闘」の大見出しとともに試合の詳細を報じている。モンスーンは年末にノンタイトル戦ながらサンマルチノを破っており、勢いをつけての出陣だった。

「両者は闘志をムキ出しにして、まるで原始人に返ったように二転三転の激闘を展開した。1本目はいきなりブラジルがアイアン・ヘッドバット(鉄の頭突き)を見舞えば、モンスーンは怪力と重量で反撃。一進一退を続けること32分、ロープ際のタックルでブラジルは場外に転落。リングに上がったところを人間重爆弾に沈められた。2本目は魔神が鉄の頭突き20連発を打ちまくって11分10秒、コブラツイストで1対1のタイに持ち込んだ」

 両雄は力道山のライバルとして日本でも激闘を展開したが、前年12月15日に死去。後継者の筆頭にジャイアント馬場が君臨していたが、日本マット界は混沌としたままだった。そんな状況下だけに、米国に次ぐマーケットだった日本でのトップ外国人争いも頭にあったのは間違いない。合計43分を超えても激闘は続いた。

「いつ果てるとも知れない死闘は48分、ついにモンスーンが回転投げでブラジルを振り回して叩きつけると、人間重爆撃で急降下。黒い魔神をKOしてサンマルチノの王座に肉薄した」。モンスーンは5月に挑戦するも引き分けで王座奪取はならなかった。

 2人はその後も来日を続け、力道山亡き後の日本マット界を沸かせ続けるトップ外国人の座を長く守った。いずれもWWWF王座には君臨できなかったが、一時代を築いた名レスラーとしてブラジルは94年、モンスーンは03年に殿堂入りを果たしている。 (敬称略)

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