東京五輪・野球日本代表は31日、オープニングラウンドのメキシコ戦(横浜)に7―4で勝利し、1位通過でのノックアウトステージ進出を決めた。初回に先制される展開も、山田(ヤクルト)の3ランなどで逆転勝利。この試合をネット裏の評論家はどうみたか。


【新IDアナライザー・伊勢孝夫】
 まあ、きょうのところは完勝でしょうな。山田の3ランが出たあとは、みんな落ち着いてプレーできたんじゃないか。菊池涼(広島)の守備の動きもよかったし、甲斐(ソフトバンク)がラッキーボーイみたいになってきた。あとは4番の鈴木誠(広島)に1本出てほしかったところやけど、チームとしてはいい調整になったと思うよ。

 ただ、気になったのは初回、日本が先制された場面でのメキシコの二塁走者の動きやった。一死二塁で3番のメネセスに中前タイムリーを打たれた際に、二塁走者は投球と同時にスタートを切っていた。普通ならありえない。あそこは「200%セーフ」という確信がないと走っちゃいけない場面やし、おそらくその「確信」があったんやろう。

 それは何か。考えられるのは「バッテリーがあまりにもノーマークだった」「けん制のクセが事前にバレていた」「捕手のサインが球速の遅い変化球だと分かっていた」といったところか。メキシコがそこまでデータ分析をしているとは思えんけど、けん制のクセや、捕手のサインが簡単なものになっていないかなど、再確認しておく必要があるやろう。

 次のステージで対戦するのはアメリカや韓国や。とくに韓国は、私も韓国プロ野球でコーチをした経験があるからよく知っているが、データ収集については熱心にやっていて、公式戦でもベンチの中にパソコンを持ち込んでいる。今回の代表にも選ばれている日本出身の山本一彦(崔一彦)という投手コーチが、とにかく日本選手のデータをよく集めているという話も聞いている。国際大会ではサイン盗みが禁止行為でないだけに、用心したほうがいい。

 もともと韓国代表はバントをほとんどしないけれども、機動力のある選手を好んで招集する傾向がある。足でかき回されることのないように、ベンチでできる対策はとにかく細かいところまでやっておくこと。そこをおろそかにしないことや。(本紙評論家)