意地の一発だった。ソフトバンクは25日の「SMBC日本シリーズ2026」第2戦(横浜)でDeNAに延長10回、4―3で競り勝った。連夜の延長戦を制しての連勝で、対戦成績は2勝0敗となった。

 試合は延長10回に飛び出した途中出場の川村から飛び出した値千金のソロで決したが、9回に同点弾を放った代打・山川穂高内野手(34)も大きかった。相手の守護神レイノルズのカットボールを振り抜くと、打球は鷹党が待つ左翼スタンドを越えて場外へ。本人は「打った瞬間でしたね。本当にたまたま」と謙遜したが、ひと振りで決まりかけていた試合を振り出しに戻した。

 一瞬で試合の流れを変えられるのが、ホームランアーティスト。小久保監督も「ここでという本塁打は彼の魅力」とたたえた。ベンチでナインに迎えられた山川は今季封印していた「どすこい」パフォーマンスを披露。「ギータ(柳田)さんに乗せられて」と笑顔を見せた。

ベンチに戻り、久々に「どすこい」を披露したソフトバンク・山川穂高
ベンチに戻り、久々に「どすこい」を披露したソフトバンク・山川穂高

 今年の戦いが最終盤を迎えた中で見せた意地の一発。4度の本塁打王に輝いた大砲も、今季は極度の打撃不振に陥った。58試合に出場して打率1割7分8厘、11本塁打、28打点。約3か月にわたる二軍調整も経験し、打撃のアプローチから練習のルーティンまで試行錯誤を繰り返した。

 4月下旬から5月上旬にかけては自己ワーストとなる31打席連続無安打も記録。練習でバットを振り込んでも思うような結果が出ない。もがき苦しむ中で、ワラにもすがる思いで手に取ったのは「塩」だった。家族に買ってきてもらったという塩を球場に持参し、試合中に自身の体とバットに振りかけて打席に立ったという。

 古くからの慣習として使われてきた「清めの塩」。かねて「打つために必要なのは気持ちではなく技術」と語り、技術の向上に努めてきた山川にとって無縁にも思えるアイテムだった。塩にも頼るほどもがいた2026年シーズン。それだけに大舞台で飛び出した一発には大砲の意地が見えた。

 昨年は3戦連続弾を放ち、日本シリーズMVPを獲得。短期決戦での存在感は一段と増す。「2年前に2勝して、そのまま負けたこともあるので。もう絶対油断はしないと思う」。日本一へさらに快音を響かせる。