してやったり――。ソフトバンクが22日に開催された「プロ野球ドラフト会議supported by リポビタンD」で、狙い通りの戦力補強に成功した。

 今季パ・リーグ3連覇を果たした常勝軍団が、ドラフトでも話題をさらった。今オフ不透明な移籍市場の動向もあり、確実に有力選手を確保できるドラフトで初志貫徹のプランを実行。栄えある1位指名では、ロッテとの競合の末に大本命の青学大・鈴木泰成投手(22)の交渉権を獲得した。早い段階でロックオンしていた最速155キロ右腕を一途に指名。2位で立命館大の最速151キロ左腕・有馬伽久を獲得すると、さらに3位では大学ナンバーワン左腕の呼び声高い慶大・渡辺和大の指名にも成功した。5位でも完投能力のある東北福祉大の最速155キロ右腕・猪俣駿太を獲得。即戦力の先発型投手を立て続けに確保して、今ドラフトで徹底的に「先発強化」を図った。

 かねてポテンシャル型を多く指名してきた球団だ。策士ぶりを発揮した城島健司CBO(50)は、今ドラフトのポイントを端的に「先発投手を多く獲りたかった」と、チームのウイークポイントを認めつつ意図を明かした。前日の段階で、NPBを経ずにメジャー挑戦意思を表明している横浜高・織田翔希投手(18)の強行指名の可能性に言及。煙幕を張って「イメージではもう少し(鈴木への入札が)多いと思っていた」と率直な感想を漏らした。

 織田は「日本球界の宝」とも言うべき存在。後ろ髪を引かれる思いだったことも事実だ。だが、編成トップとして最善の選択を下した。コンディション面の不安を露呈していた鈴木だが、スカウト陣の高い評価は揺るがず。陣頭指揮を執る城島CBOは、入団拒否のリスクを伴う「織田強行」ではなく、信頼を寄せるスカウト陣の熱い思いをくんだ。さらに、今オフの移籍市場が不透明であることも「即戦力ドラフト」を後押しした。MLBは12月以降、ロックアウトの危機に直面しており、契約や交渉がストップすればNPBへの影響は甚大。想定される国内市場の枯渇感も相まって、温めてきたドラフト戦略を全うした形だ。

 下位指名では8位で国立台湾体育運動大の最速151キロ右腕・深見一騎、9位でメジャー挑戦意思を表明して今夏からペンシルべニア州立大でプレーしている最速159キロ右腕・佐藤幻瑛を相次いで指名。佐藤の入団可否は今後の交渉次第だが、サプライズ指名でも先発型を狙う一貫性が垣間見えた。

 現有戦力への信頼は厚いが、勤続疲労やよもやの故障、不調がないとは言えない。オフの補強に向けても水面下で抜かりない準備を進めている鷹が実行した即戦力ドラフト。安定した常勝継続へ、布石を打った。