オリックス・中嶋監督の〝温情〟が裏目に出てしまった…。9日のヤクルト戦(京セラ)は12球団勝利のかかった増井浩俊投手(37)が満を持して今季初登板したが、5回7安打2失点で降板。粘投は実らず、序盤の2失点が尾を引いて1―2と惜敗した。増井の偉業達成はお預けとなり、チームは連敗で再び借金生活に戻った。

 不安はあった。プロ12年間で全球団からセーブとホールド、11球団から白星をマークし、ヤクルトからの勝利で史上初の〝コンプリート〟となるはずだった。ここ数年は成績がふるわず、今春のキャンプでも右ヒジの違和感で出遅れ、ウエスタン8試合でも1勝1敗、防御率5・50。チーム関係者は「ファームでもとても一軍で勝負できるような球威ではないし、制球も安定しない。何としても勝ってもらいたい監督の温情だろうけど、よりによって一番すごい打線相手ですから厳しい」とこぼしていた。

 プロ13年目。次回のヤクルト戦がいつになるか分からない。それでも最速150キロを計測し、要所をフォークで切り抜けて次につながる内容は見せた。増井は「野手に助けてもらっていたことで何とか粘り強く投げることができたと思います」と話し、中嶋監督も「5回2失点は十分と思います。よかったと思います」とねぎらった。偉業はお預けとなったが、指揮官の思いにこたえたい。