中日から又吉克樹投手を獲得して8年ぶりのFA補強に成功したソフトバンクの人的補償に注目が集まっている。人材の宝庫とされプロテクトリストから思わぬ選手が漏れる可能性もありそうだ。ここまで中日は唯一支配下の新助っ人を獲得しておらず、ついには見送る可能性まで示唆している。より〝確実な補強〟として見込んできている可能性も出てきた中で、果たして鷹フロントの決断は――。

 17日に中日からFA権を行使していた又吉を獲得。実に8年ぶりとなるFA補強を行ったソフトバンクでは中日の補強の進捗を気にする声が出ている。人的補償のともなうBランクのため、2週間以内に28人のプロテクトリストを中日に提出する必要がある。そんな中で「外国人補強の代わりとなれば想定とは違うような選択をしてくるかもしれない」(球団関係者)。

 ソフトバンクは昨年まで4年連続の日本一を成し遂げていたこともあり、日本人選手だけでも平均年俸は中日の倍以上。中日からすれば年俸バランス的に割高な選手が多い。フタを開ければ金銭補償も含めた無難な決着になる可能性も球界内ではささやかれていた。

 ところが中日の外国人補強が進まない。現在、12球団で唯一、支配下の新助っ人がゼロ。ついには右の大砲を待望していた立浪監督が「もしかしたら取らない可能性もある」と見送りまでを示唆している。となれば割高となってもそれなりの高年俸選手を指名してくる可能性も出てきている。

 果たしてどのようにプロテクトリストが組まれ、中日はどのような選択をするのか。ソフトバンク自体が久々のFA補強だ。ファームも含めて人材の宝庫とされ、高年俸選手も多数いる。ユーチューブで複数の球界OBが人的補償の予想をするなど、両球団のファンのみならず注目が過熱している。

 高年俸選手でいえば、中日の最高年俸は大野雄の3億円。そんな中でソフトバンクの上位は現時点で柳田(6億2000万円)、千賀(6億円)、森(4億6000万円=今オフ未更改)、松田(4億5000万円=今オフ未更改)、今宮(2億9000万円)と続く。柳田や千賀をリストから外すことは考えられないが、来季39歳の松田を中日が獲らない前提で外すことは戦略的にはありえる。

 その一方で全員が高卒である今年のルーキー井上、笹川、牧原巧、川原田や、前年ドラ1の佐藤直ら直近のドラフト上位選手をどう考えるかもある。中長期的な将来を見据えて指名した選手たちだ。アマ球界の心証もある中でどういった判断をするのか。

 裏を返せばプロテクトで重点を置くバランス次第では、2019年の新人王・高橋礼や15年のドラ1で中日のお膝元出身の高橋純。ポテンシャル抜群ながら近年不振に陥っている上林、ネクストブレーク候補に挙がる柳町や谷川原らが漏れる可能性だってある。

 球団側は「Bランクの選手を獲ると決めた時点で想定していたこと」と泰然自若の構え。立浪監督が「結構いい選手が溢れる可能性がある」と話すなど〝確実な補強〟と見込んできている可能性もある中でどう最終決定を下すか。

=金額は推定=