守乱もあってCSに敗退し、シーズンでは4年連続で12球団最多の失策数をマークしてしまった阪神は、14日に甲子園球場で行われた秋季練習で徹底した守備練習に着手した。通常のノックのほかにもクッション処理、アメリカンノックなどバラエティー豊かなメニューで一、二軍合同の若手選手たちを鍛えぬいた。

 この日、精力的にノック役を務めたのが田中秀太ファーム内野守備走塁コーチ(44)。昨季まで九州地区の担当スカウトとして中谷(現ソフトバンク)、梅野、小川らの獲得に関わってきたが、12年ぶりに指導者として現場復帰。悔しすぎる今季V逸の直接的な原因ともなった守備難の解消はチームにとっても最重要課題だけに、同コーチへかかる期待は大きい。

 2018年のドラフト会議で宮崎・延岡学園から2位指名された小幡竜平内野手(21)も「秀太物件」のひとりだ。身体能力の高さと高校時代から定評の高かった守備力が売りの若虎だが、今季は〝新人王級〟の活躍を見せた中野の台頭などもあり、出場試合数は激減。高卒4年目となる来季へ向け「まずは守備で絶対的な信頼を勝ち取りたい。(首脳陣へ)常にアピールをしてまずは沖縄での一軍キャンプを狙いたい」と表情を引き締める。

 担当スカウトとして、昨季までも小幡にたびたび助言を与えてきた田中コーチは「2位で指名した選手だからね。一軍で戦う体の強さはできてきたけど、来年はもう4年目。『レギュラーとらなきゃダメだぞ』と小幡には言っている」と強烈なハッパをかける。

 ドラフト同期同学年の小園(広島)や戸郷(巨人)らはすでに一軍に定着。「小園たちに現時点では負けているよね。ただ小幡も、即戦力にはならなくても『いずれ上がってくるだろう』と見込んで上位で獲得した選手。このオフをどう過ごすかは彼の野球人生を左右すると思う」。誰よりも小幡の才能を信じ上位指名につなげた田中コーチだからこそ、背番号38へかける期待は人一倍大きい。

 小幡が一軍に定着し、中野と二遊間を組む日が来れば、阪神のセンターラインは劇的に強化されるだろう。悲願の17年ぶりリーグ制覇へ、鍵を握るのは小幡の成長に他ならない。