「今回打たれたことで、本人も少しは気が楽になるんじゃないですか」

 7日の中日とのオープン戦(バンテリン)に先発し、4回8安打3失点と精彩を欠いた楽天のドラフト1位・早川隆久(22=早大)を巡って、チーム関係者からこんな声が漏れている。

 球界注目のルーキー左腕は2月中の実戦2試合で計5イニングを1失点に抑えたことで「評判通りの好投手」と周囲の評価が急上昇。早々と球界関係者の間では「2桁勝利は確実」「新人王争いの筆頭候補」と叫ばれていた。

 そんなさなかでの実戦3戦目は初回から相手打線に連打を許すなど不安定で、2回には3安打で1失点。4回にも3連打で2失点と「プロの洗礼」を浴び、前日の田中将に続き敗戦投手となった。この内容には本人も「打たれた球は変化球が特に多かったので…」と反省。「変化球の精度を見直していかないといけない」と早期修正の必要性を強調するなど危機感を募らせた。

 だが、本人の気持ちとは裏腹に「今回打たれたことは、むしろ早川にはプラスに働くはず」と話すのが冒頭の関係者だ。

「これまでの早川はキャンプ、練習試合であまりにも順調に結果を出してきたため、いつの間にか周囲の期待値が異常なまでに跳ね上がっていた。確かに非凡な才能の持ち主ではありますが、公式戦でまだ1試合も投げていない新人に『2桁勝利が確実』とか『新人王当確』というのはかわいそう。無言の重圧になりますから。その意味で考えると、今回の投球内容は本人への高い期待を少し抑える効果が見込めるはず。首脳陣も安堵していると思いますよ」

 プロは生き馬の目を抜く世界。この時期に自分を見つめ直すきっかけができたことは、プラスに考えてもいいのかもしれない。