幻に終わった、巨人・増田大輝内野手の2度目の投手起用の裏側を宮本投手チーフコーチが明かした。

 優勝へのマジック「35」で迎えた、17日の阪神戦(東京ドーム)は0―11の大敗。連勝は9でストップしたが、スタンドの観客にはわからないドラマが7点ビハインドの9回表に起きていた。

 9回、巨人3番手で登板した田中豊が、制球難と味方のエラーに足を引っ張られ4失点。一死満塁で途中出場の4番・江越の犠飛で11点目が入り、さらに大山に四球…。すると中継の映像がグラウンドから巨人のブルペンカメラに切り替わり、映し出されたのは軽快に投げ込む増田大だった。

 球界内外で波紋を広げた、大差での野手の投手起用。登板となれば8月6日の阪神戦(甲子園)以来、もちろん本拠地・東京ドームでのマウンドは史上初となるだけに、成り行きが注目されたが、途中出場の6番・荒木が三邪飛に倒れ文字通り幻と消えた。

 試合後、原監督はこのことについて言及していないが、試合後リモート取材に応じた宮本コーチは、報道陣からの質問に「なんで知ってんの!?」と驚いた様子。すぐさま「テレビ映ってたか…」とつぶやくと、その経緯をこう語った。

「田中豊樹もあれ以上つながれてしまうと…やっぱり、彼のプロ野球人生で投げたことない球数だったと思うんですね。僕もマウンド行ったときにちょっと体も全体的にほてっていたし、これ以上無理をさせてはいけないなっていう風には思いましたので、増田大輝。監督のお気遣いによって増田大輝の方をブルペンの方にっていうことで行ってもらいました」

 投手陣の管理を一手に引き受ける宮本コーチとしては、やはり田中豊で終えてほしいところ。しかし、荒木を打ち取れなかったら「投手・増田大」を送り出す予定だったことも明かした。

 前回はビジターでの起用だったが、Gの聖地・東京ドームでの登板となれば、議論再燃となるのは必至だった。しかし、ビジターだろうがホームだろうが、原監督の中には一点の曇りもない。

「勝つために、目標のためにやっているんだから。ジャイアンツの野球ではやってはいけねえんだとか、そんな小さなことじゃないんだよ。俺たちの役割は」の言葉が強く裏打ちされた舞台裏だった。