ヤクルトの山田哲人内野手(28)が3日に国内FA権の取得要件となる8年の出場登録日数に到達した。トリプルスリーを3度達成した強打の二塁手とあって、その去就は今オフFA市場最大の目玉となることは確実。ソフトバンク、楽天、巨人などが獲得に名乗りを上げると見られるが、本命はどこなのか。球界内でささやかれる山田哲の〝移籍先〟とは――。

 山田哲は遠征先の甲子園で「(国内FAの取得要件を満たしたことは)素直にうれしい。ヤクルトにドラフトされて本当に良かったと思います。環境だったり、人と人との縁だったり自分は恵まれていると思う」と、球団を通じてコメント。昨オフの契約更改で「(FA宣言は)するかもしれないし、しないかもしれない」と語っていた注目の今オフの権利行使については「今はシーズン中なので、その時期になったらじっくり考えたい」と語るにとどめた。

 では、その移籍先はどこになるのか。球界関係者によると「ソフトバンク、楽天、巨人あたりの争奪戦になるのではないか。ヤクルトに残留すれば先々も大事にしてくれるわけだし、まったく可能性がないわけではない。とはいえ、マネーゲームになりそうだし残留は難しいのでは」との見方が現状、大勢を占めている。

 ただ、ソフトバンク、楽天、巨人それぞれにも決定的といえる材料があるわけではない。それぞれ資金力では他球団を圧倒している球団なのだが、球界関係者の間ではこうささやかれている。

「ソフトバンクは二塁手が補強ポイント。申し分のない条件は提示できるはずだが、仲の良かったバレンティンが今季、苦しんでいる。あれで山田が『パ・リーグでは通用しないんじゃないか』『結果が出なければすぐに二軍に落とされるのか』とおよび腰になってしまうんじゃないか」

「楽天はその3球団で金銭的に一番いい条件を出せそうで、三木監督にはヤクルト時代に世話になっている。石井GMとも知らない仲ではなく、すぐにチームに溶け込めそうだが、浅村とポジションがかぶってしまうし、寒さが苦手の山田が東北でのプレーを希望するかどうか」

「巨人は原監督が昨オフ『FAしたら、やっぱり参加するのがジャイアンツ。そうしないとFAがダメになる』と宣言しているし、今年も誰かしらの争奪戦に参戦するのはまず間違いない。昨年のFA交渉全敗の屈辱を晴らしにくるのでは。ただ、二塁手は補強ポイントだが、今年は菅野がポスティングで海外流出すれば、先発投手陣がどうしても足りなくなる。小川(ヤクルト)や大野雄(中日)に行く可能性もありそう」

 一方、地元である阪神、オリックスについては山田哲本人に地元へのこだわりがそれほどなく、むしろ東京での生活に愛着があるとのこと。他球団も金銭的な争奪戦に太刀打ちできそうもなく、移籍先は前出3球団にほぼ絞られているといってもよさそうだ。

 単純に金銭面での評価なら楽天、ソフトバンク、地域性で考えるなら巨人、または大事にしてくれるヤクルト…。果たして山田哲の決断はいかに。