鯉党歓喜のグランドスラム!広島・堂林〝11年目の覚醒〟支えた2人のスーパースター

2020年07月08日 23時14分

DeNA戦で決勝の逆転満塁本塁打を放った広島・堂林

 鯉のプリンスがついに化けた! 広島・堂林翔太内野手が8日のDeNA戦(マツダ)で逆転グランドスラムを放ち、チームは連敗を4で止めた。

 劇的な瞬間が生まれたのは、1点を追う八回一死満塁の場面だ。「チャンスだったのでランナーを返すつもりで打席に入った」。DeNA・パットンの148キロ直球を完璧に捉えると、〝確信〟のバット投げ。バックスクリーンへ飛び込む3号逆転満塁弾となるのを見届けると、ベンチは大興奮の渦となり、佐々岡監督は両手を挙げて喜びを表した。

 人気者の苦しみは、人気者にしかわからないのかもしれない。2安打5打点の荒稼ぎで打率は再び4割台。昨季は故障もあってプロ入り最少の28試合出場と屈辱のシーズンを過ごした男が、水を得た魚のように暴れ回っている。11年目の〝覚醒〟の陰には2人のスターの存在がある。

 1人目は昨季巨人から加入した長野。名門の看板選手が突然のカープ移籍。ただ1年目の昨季は夏場に長い二軍生活を送った。同時期にリハビリで二軍にいた堂林は、その先輩打者に四六時中、密着。「長野さんは天才。僕とは違いすぎます」と話したが、技術だけではなく、ファンの耳目を集めるプロとしてどう振る舞うか、をじっくり学んだ。昨季唯一スポットライトを浴びたサヨナラの瞬間、真っ先に長野と抱き合って喜んだのは偶然ではない。
 
 もう一人は言うまでもなく後輩の鈴木だ。オフにはプライドを捨てて弟子入りを直訴。「誠也という球界でもナンバーワンの打者とやれるので、何か一つでも吸収してキャンプに臨んでいければ」と鼻息荒く自主トレに臨んだ。主砲も堂林の覚悟に応え、惜しげもなく打撃理論を伝授。日本の4番から吸収したエキスが今季の活躍につながっているのは間違いない。

 もちろん、現在の活躍は堂林個人の努力があってこそ。大化けの予感もあった。「僕は自分の実力で1回も試合に出続けていないので、そこはやっぱりずっと思っていること。144試合出たときも、(当時の)野村監督にずっと我慢して使ってもらっていただけ。そういうのを抜きで、実力で試合に出続けたいとずっと思っています」。オフ、本紙には真っ赤な目で悲壮な決意を明かしていた。

 苦しんだ10年を思えば、これしきで喜んでなどいられない。「今のところはいい状態できている。毎日必死です」。眠れるプリンスが、ついに両目を開けようとしている。