巨人・原監督 日本一奪回で晴らす「3つの屈辱」

2020年06月19日 16時30分

合流した坂本と話す原監督(右)

 いよいよ、2020年のプロ野球が3か月遅れで開幕。巨人は19日の開幕戦(東京ドーム)で阪神を迎え撃つ。「特例」が盛り込まれた異例ずくめの一年。原辰徳監督(61)は静かに今季の決意を語ったが、その胸の内は「日本一奪回」に向け燃えに燃えている。その背景には指揮官が受けた“3つの屈辱”の存在があった――。

 最後の最後、主将の坂本と大城にまさかの新型コロナ陽性反応というドタバタこそあったが、ついにその2人が一軍に合流した。東京ドームで行われた18日の全体練習では他のナイン同様のメニューで汗を流した。

 練習後、原監督は右翼線ファウルゾーンの「エキサイトシート」に陣取るマスク姿の報道陣に“柵越し”で対応。「非常にいい高揚感とね、まあまあ緊張感と、いよいよ始まるなあという期待感と…。いい感じですね」と静かに語った。

 史上初の6月開幕。さらに試合数も120試合となり、セ・リーグにいたってはCSなしの一発勝負となる。やはり大事なのは開幕ダッシュとなるだろうが、指揮官はあえて「この経験というのは誰しもしていないことですから。そこはあえて冷静に律する必要があると思っています」と押しとどめた。

 さらに球団6000勝、その先にある日本一奪回に向けても、原監督は「2020年度のジャイアンツは目標はさらに高いものがあるわけですから。その辺(6000勝)は早めにクリアはしたいなと。しかし、当面の目標というものは、それではないというところです」と控えめに話した。

 本来ならばバーンと威勢よく、高らかに目標を掲げるのが原監督のはずだが…やはり、異例ずくめのシーズンに戸惑いがあるのか。実はそうではない。日本一奪回には誰よりも闘志を燃やしている。

 背景には、これまで指揮官が受けた“3つの屈辱”がある。昨年、第3次政権初年度にしてリーグ制覇。監督通算1000勝も達成し、誰もが認める「名将」の域に到達した。しかし、ソフトバンクとの日本シリーズでまさかの4連敗。これを受けセ・パの実力差、さらにはアマチュアを含めた現代野球への提言として、セ・リーグのDH制導入をぶち上げたが、昨年のセ・リーグ理事会では“完全スルー”。その後もリーグ挙げての大きな議論に発展せず、唇をかんだ。

 そして、知られざるもう一つの屈辱――。年が明けた原監督は球界の「ミスター・ポジティブ」ぶりを発揮。昨年の日本シリーズについて「覚えていない。出たことすら忘れている」と語るなど、ひたすら前を向き続けたが、宮崎春季キャンプで、まさかの一幕が…。グラウンドでにこやかに報道陣と話していた指揮官にファンから「原監督! 日本一、おめでとうございまーす!」の声が浴びせられたのだ。

 といってもアンチではなく、明らかにファンの誤認。指揮官はどこを向くでもなく、すかさず「誰が日本一や」と絶妙の間で一人ツッコミを入れて笑いを誘ったが、一瞬見せたこわばった表情に、周囲に戦慄が走ったのは言うまでもない。

 固定観念にとらわれず、柔軟なチームマネジメントで昨季を制した原監督。激動の2020シーズンを連覇に導けば、その影響力はさらに重みを増すことになろう。悲願を成就させ、屈辱を晴らす。原巨人がいよいよ戦いに臨む。