なぜヤングGは突き抜けられないのか。巨人で長らく語られる大テーマが「なかなか若手が台頭しない問題」。要因は一つに絞れないが、何度も指摘されてきたのは積極的な戦力補強を行う球団の姿勢だ。新戦力の存在が若手の芽を摘んでいるというわけだが、育成と底上げの中心人物はどう考えているのか? 阿部慎之助二軍監督(41)が声を大にしていた持論は――。

「個人調整期間」が続く巨人では、ジャイアンツ球場でナインが個々の課題に取り組んでいる。そんな中、12日には阿部二軍監督が視察に訪れ、若林晃弘内野手(26)に「もっと遊び心を持って打てばいい」と打撃指導する場面もあった。

 こうした一軍に定着できない選手たちを、いかに一人前にするかも阿部二軍監督の重要任務だ。若手が伸び悩み、一軍と二軍を行き来する要因に挙げられる“定番”は球団の補強姿勢。このオフこそFA補強に失敗したが、外国人選手を含めて新戦力の獲得に積極的だ。背景には「常勝」との鉄則があるわけだが、獲得した新戦力の優先起用が若手の出場機会を奪っているとの指摘も根強い。その点について、阿部二軍監督は真っ向から異論を唱える。

「ジャイアンツの若手が出てこないと言われるのは、FAで選手を獲るからだろうなって思っている人も多い。けど、そんなことないんですよ。それ以上にチャンスをくれるんですよ、原監督は。二軍から一軍に上げた時に、パンッとスタメンで使ったりしてくれる。そこでチャンスをつかめないヤツが多すぎる」

 象徴的だったのは昨季の二塁手だろう。レギュラー大本命だった吉川尚輝内野手(25)が開幕早々に故障離脱。若林、山本、増田大ら計7人が守ったものの、いずれも好調が長続きせず、固定起用には至らなかった。

“FAのせいじゃない”とすれば、どこに問題があるのか。阿部二軍監督は数少ないチャンスで「『何とかして(結果を残して)やろう』というのがない」と一刀両断し「根性論ってあまり好きじゃないけど、そういうのも必要なんじゃないかな。ハングリーさというかね」と“根性不足”も一因との見立てだった。

 振り返れば、春季キャンプでは「技術じゃねえ! 体力と根性だ!!」とノック中にゲキを飛ばした。昭和の香りも漂うが、鋼のメンタルはプロに欠かせない要素でもある。

 コロナ禍の影響で超異例のシーズンとなる2020年。それでも補強が不調に終わった今季こそ、生え抜き戦士の真価と鬼軍曹の手腕が問われそうだ。