巨人・山口俊がメジャー挑戦へ ポスティング容認の裏に球団の凡ミス

2019年11月18日 16時30分

プレミア12では散々だったが…今オフのメジャー挑戦を目指す山口

 巨人・山口俊投手(32)がポスティングシステムを利用し、メジャー移籍を目指す意向であることが分かった。同制度が行使されれば、巨人史上初となる。これまで球団では所属選手のポスティングを一貫して容認してこなかったが、今回は「特例」として山口の行使を検討する方針。いったい、何が起きていたのか。その背景に追った。

 今季の山口は先発の大黒柱として獅子奮迅の働きを見せた。エース菅野が本調子にないなか、リーグ最多の15勝を挙げ、7割8分9厘で最高勝率、188奪三振もトップで占めて投手3冠。国際大会「プレミア12」では日本代表に選出され、17日の決勝戦(東京ドーム)に先発。初回3失点でKOされたものの、最終的に「世界一」の称号を手にして、2019年シーズンを終えた。

 今後はポスティングを利用して、夢の一つだったメジャー挑戦を目指す。球団幹部も「プレミアが終わったら」と話しており、本格的な交渉が幕を開ける。

 ただ、これまで巨人はポスティングを一切認めてこなかった。今季途中で現役を引退した元エース・上原浩治は、2004年オフに初めてポスティングでのメジャー移籍を直訴。しかし、球団側は断固として認めず、意見の衝突は毎年のように繰り返された。結局、海外FA権を行使して海を渡ったのは09年のことだった。

 そうした風向きに変化が見られたのは今月上旬。編成トップも兼ねる原監督は、くしくもこんなことを語っていた。「すごく頑張って頑張って、ジャイアンツで一生懸命やったと。で『本当に私の夢はこうなんだ』と。これは結果としてないとは言えない」。巨人が貫く“ポスティングNG”の鉄則を変える可能性についても「僕はそう(ありだと)思う。時代の流れのなかで、それをかたくなにダメだというのではなく、選手にもあれだけ頑張ったから希望が通ったんだという『特例』は僕はあってもいいと思う。かたくなにポスティングはダメ、ウチはしないというのもおかしな話」とまで切り込んでいた。

 時流に合わせて球団方針を変容させる必要性も唱えたが…。それだけでは説明がつかない部分もある。山口は巨人在籍3年。1年目は自身が起こした泥酔騒動で4登板にとどまった。確かに今季の活躍は5年ぶりのリーグ優勝へ大きな原動力となったが、実質的に稼働したのは2年間だ。

 複数の関係者の話を総合すると、前代未聞のポスティング行使を検討せざるを得なくなったのは、根本的に球団側の“ミス”が重なったためという。

 球界関係者は「そもそも山口が巨人にFA移籍した早い段階から契約にポスティングを容認する旨が盛り込まれていたと聞いています。飲酒トラブルもあって一時は信用が完全に失墜。契約交渉する幹部が代わった間もポスティングの件は見直されず、球団上層部にも承認されてきたようです」。別の関係者も「今季の活躍を受けて来季も…、となったところでポスティングの要項があったため、球団内は『どうなっているんだ!』と大荒れになったみたいです」とも…。

 リーグ連覇を目指すチームにとっては、大黒柱の海外流出危機。この非常事態に球団は全力で引き留めにかかるとみられるが、どんな結末が待っているのか――。