赤ヘル外野陣の定位置争いが一気に熱くなってきた。広島は17日のドラフト会議で大学ナンバーワン右腕・森下(明大)の交渉権獲得に成功。大物一本釣りにしてやったりの球団内は「100点満点以上」とホクホク顔だが、一部で「意外」と受け止められたのが2位で法大・宇草孔基外野手(22)を指名したことだった。

 担当の尾形スカウトによると、宇草は「走攻守と三拍子揃った大型外野手。パンチ力のある打撃と、スピードが魅力の選手」。185センチ、83キロの堂々とした体格から広角に長打を打てると評価されているが、最大の魅力はスピードだ。苑田スカウト統括部長は「足は“特A”です」と太鼓判を押す。

 森下獲得に成功したこともあるが、外れ1位候補だったJR東日本の大型右腕・大田龍(21)をウエーバー指名順で後ろの巨人に譲ったことからも、宇草への評価の高さがうかがえる。ただ右投げ左打ちで俊足の外野手といえば…。現在の外野陣でタイプがかぶるのが14年ドラ1の野間だ。

 今季開幕前には“ポスト丸”候補の一角と期待された26歳だが、今季は123試合で2割4分8厘、2本塁打、16打点と伸び悩んだ。若く有望な外野手の補充が編成上の課題だったとはいえ、野間がバリバリ活躍していたら2位指名はどうなっていたか。

 不動の鈴木、成長著しい西川、ベテランの長野、松山らカープの外野陣には実力者がひしめく。俊足自慢だけで割って入る隙は2人分もないだろう。苑田部長は「競争してほしいね」とニヤリだ。宇草の挑戦に先輩がどう応えるか。2020年もカープの外野は熱く燃えそうだ。