巨人が20日のオリックス戦(東京ドーム)に4―2で勝ち、交流戦5カード連続の勝ち越しを決めた。全4打点を叩き出した丸佳浩外野手(30)の活躍が光ったが、ソフトバンクとの首位攻防戦を前に原辰徳監督(60)の鬼の顔が表面化。消極的な走塁と判断した重信慎之介外野手(26)にベンチで今季初の公開説教をし、大きく若返ったチームがピリついている。

 まさにFA戦士の面目躍如だった。まずは0―2の6回、K―鈴木の外角直球を左翼ポール際に放り込む技ありの同点2ラン。8回は二死一、二塁の場面で右翼フェンス直撃の2点適時三塁打を放ち、これが決勝点となった。大暴れの背番号8に、原監督も「4点のうちの4打点ですから100点ですね」と賛辞を惜しまなかった。

 これでチームは交流戦10勝5敗、2位を堅持したまま21日から東京ドームで、ゲーム差なしの首位ソフトバンクとの最終決戦に臨む。日本一に輝いた2014年以来となる交流戦Vも見えてきたなか、原監督が勝負師として厳しい一面をのぞかせた。

 それは5回終了時のベンチでの出来事。腰掛けたままの指揮官は、直立不動の重信に対して首を何度も横に振りながら激しい口調で叱責したのだ。いったい、何があったのか?

 試合後、指揮官はこう説明した。

「試合中に彼(重信)とも話したけど、2点ビハインドというなかで(次打者の炭谷に要した)3球あってスタートを切れないというのはね。『それはお前さんの特長として生きていないよ』と。我々はスターティングメンバーにしているわけだからね。セーフ、アウトになるのは分からない。しかし、あそこでスタートを切れる選手にならないといけない」

 この5回の打席、重信はチーム初安打となる中前打で突破口を開いたが、指揮官が指摘したのはその後の走塁についてだった。結果的に最大の武器である俊足で相手バッテリーを揺さぶれず、炭谷の遊ゴロ併殺で攻撃を終えた。これが消極的と映ったようだ。

 いずれにしても、原監督が公衆の面前で特定の選手にカミナリを落としたのは今季初めてのこと。丸の同点弾が飛び出した際には満面の笑みを浮かべて両腕で輪っかを作る「丸ポーズ」も初披露したが、多くのヤングGを抱えるベンチ内にはピリピリムードが充満した。

 当の重信は「期待していただいているところもある。そこ(機動力)を生かせれば、チームの力になれるかなと思います」と話し、一塁コーチの鈴木外野守備走塁コーチは「もっと(自分を)信用、信頼してスピードで勝ち取ってほしい」と成長に期待した。

 3度目の監督就任以来「のびのび野球」を掲げ、少々のことには目をつむってきた原監督だが、いよいよ一つの勝負どころと踏んだということか――。