守乱のバレンティンに届け ヤクルト・河田外野守備走塁コーチの諭し指導法

2019年06月04日 16時30分

三塁コーチの河田コーチ(左)とタッチを交わすバレンティン

【赤坂英一 赤ペン!!】先月29日の広島戦で、ヤクルトのバレンティンがスタメンから外れた。この時点で12連敗していたにもかかわらず突然の“4番外し”。小川監督は「総合的な判断です」としか語らなかったが、原因は前日28日の守備のミスにあったらしい。

 この試合の3回、バレンティンは広島・野間の打球を捕り損ね、緩慢な送球で二塁へ進まれた。ヤクルトはこの失策から3点を失って逆転負け。怠慢プレーと批判されても仕方がないだろう。

 スタメン落ちはやはりペナルティーなのか。河田外野守備走塁コーチに改めて真相を聞いた。

「いや、バレンティンはあの日先発した大瀬良と相性が良くないでしょ。そういうことも考えた上での判断だったんです」

 実際、バレンティンは昨季、大瀬良に9打数0安打。今季も5月15日の初対戦でスタメンから外された。が、来日9年目になるのに、守備が長年の課題であるのも確か。

 試合前の外野ノックでは時々、バレンティンが河田コーチに「ここよ~、ここに打って~」と呼びかけている。その通りにしては練習にならないので、河田コーチは打球を左右に振る。これが遠いと見ると、バレンティンは捕りに行かない。背後に転がったボールは殊勝に自分で拾っているが。

 河田コーチは練習中、そんな気まぐれなバレンティンを呼び寄せて懇々と諭しているという。

「そんなことじゃ困るんだよね。守りもちゃんとやってくれよ。主力なんだからチームのみんなをガッカリさせないでよ」

 そう言ったら、バレンティンは、神妙な顔つきで頭を下げたそうだ。

「オレの守備、河田さんにとっては、ストレスになってるんだろうね」

「オレのストレスなんかどうでもいいんだって」

 苦笑いしながら、河田コーチはこう説明した。

「もともとバレンティンは守備に対して少し臆病なところがある。だからキツい言葉で注意するんじゃなく、ちゃんとやればできるんだよ、と諭しながら導いてあげることが大事なんですよね」

 そう語る河田コーチは広島にいた2016、17年、独自の“熱血コミュニケーション”で鈴木、野間を育てた。今も広島ファンの人気は非常に根強く、カープのTシャツにサインを求められたりしている。その指導力によって、バレンティンがファインプレーでチームを救うときもやってくるはずだ…と信じたい。

 ☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。毎週金曜朝8時、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ!」出演中。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」(講談社)などノンフィクション増補改訂版が電子書籍で発売中。「失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。ほかに「すごい!広島カープ」(PHP文庫)など。最新刊は構成を務めた達川光男氏の著書「広島力」(講談社)。日本文藝家協会会員。