巨人・岡本和真内野手(22)が21日、西武とのオープン戦(メットライフ)で11試合ぶりとなるバックスクリーン弾を放った。若き主砲がいよいよ開幕モードに突入したが、オープン戦を通じて守備位置は当初予定された三塁ではなく一塁がメインとなっている。“4番サード岡本構想”が方針転換となった裏側とは――。

 開幕が近づくなか、打率1割台に沈んでいた和製大砲がきっちりと仕上げてきた。2回先頭の第1打席、岡本は西武の開幕投手・多和田の低めの144キロ直球を叩き、豪快にバックスクリーンへ。11試合ぶりの一発に本人は「(ひと振りで)仕留められる確率もちょっとずつ上がってきました。開幕から(最高の状態で)出られるようにしたいです」と手応えを口にした。規格外のパワーをあらためて見せつけ、原監督も「あそこまで放り込めるというのは、球界広しといえども、そうそうはいない」と舌を巻くばかりだった。

 昨季は史上最年少の22歳で「3割、30本塁打、100打点」の偉業を達成。全幅の信頼を置く指揮官は4番起用とともに「サードを中心に」とチームづくりに着手した。巨人の「4番・三塁」は、いわば花形。長嶋、原らがたどってきたスターの系譜を岡本も踏襲する方針だった。だが、オープン戦での起用はほぼ一塁。そこにはどんな経緯があったのか。

 まずは新戦力の加入が大きい。首脳陣は岡本と同じ一、三塁などを守れるビヤヌエバ(前パドレス)と中島(前オリックス)の守備力を見極めるべく、岡本を一塁に押し出す形で我慢強く起用してきた。ところが、ビヤヌエバは守備以前に昨年メジャー20発を放った打棒が振るわず、「寝違え」によるコンディション不良が重なってファームで調整中だ。

 ならば、当初の「三塁・岡本」に戻るかというと、そうでもない。実は指揮官のなかにある「一塁手は体が大きい方がいい」との考えが影響しているという。内野手にとって悪送球のリスクは付き物で、その不安を和らげてくれるのが一塁手でもある。昨季の岡本の一塁守備率は9割9分4厘と高いだけでなく、今オフの肉体改造で巨体はさらにボリュームアップ。内野全体に安心感を与えるうってつけの存在となっている。

 現役時代はユーティリティープレーヤーとして活躍した元木内野守備兼打撃コーチも「それは的が小さいよりもデカい方が投げやすいよ。心理的なものだとは思うけど」と証言した。もちろん、シーズン中に岡本が三塁に回るケースはあるだろうが、“正三塁手”は調子が上向きの中島や2年目の田中俊、ビヤヌエバらが候補となりそうだ。本番モードに入った岡本は今季はどんな活躍を見せ、Gのホットコーナーは誰が務めるのか――。